須賀敦子全集 第3巻
須賀敦子全集 第3巻 / 感想・レビュー
salvia
『地図にない道』が読みたくて借りた本。他は再読になるのだけれど、こちらの年齢が近づいた分、筆者の悲しみ、淋しさ、寄る辺なさをより強く感じた。どこか湿り気を帯びた闇に惹かれる人のようだ。15年暮らしたといえど、異邦人としての自分を冷徹な眼で見ており、それだけに人々との出会いひとつひとつが奇跡であったかのように灯る。文学だけでなく、絵画などの美術品についても、自分のからだの中を潜らせた言葉で語っており、興味を掻き立てられるだけでなく、しみじみと共感を覚えた。
2024/08/27
sika_meter
再読です。個人的に、きりりとした文章を読んでダラけた背筋を伸ばしたい気分のときは、須賀敦子。実はイタリア自体にはそんなに興味がない(笑)のだけど、彼女の審美眼を通して見えてくる土地や建物、文学、人物はどれも魅力的に思えてしまう。日本での子供時代、フランス、イタリアでの若き日々、そして日本に戻っての晩年、と時間と場所を自由に行き交っているけど、彼女のことば選びと洞察力が添えられている限り、少しも散漫にはならない。
2020/05/22
ミニすけ
上品な文章で、ヴェネツィアの思い出が語られている。 「ザッテレの河岸で」で、高娼婦の絵が取り上げられているが、この絵には、からくりがあったのだ!筆者が、もし知ったら、どんなに驚いただろう。この秘密は、福岡伸一の「世界を分けてもわからない」に詳しい。
2016/04/14
OHNO Hiroshi
「ユルスナールの靴」「時のかけらたち」「地図のない道」「塩一トンの読書」 風景、知人、友人、家族の死、それを前にした矜持ある生き方。おばあちゃんの写真を整理していたら、笑顔の写真しかなかった的な。 再読せよ。
2015/07/18
よしひろ
うまく消化できていないけど、日本語が美しい作品。ユルスナールという作家、特に、黒の過程に興味を持った。ユルスナールという小説家を、作者自身の目と感性を通して描いている。
2012/12/29
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