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アヴィニョン五重奏I ムッシュー ---あるいは闇の君主 (アヴィニョン五重奏【全5巻】)

アヴィニョン五重奏I ムッシュー ---あるいは闇の君主 (アヴィニョン五重奏【全5巻】)

アヴィニョン五重奏I ムッシュー ---あるいは闇の君主 (アヴィニョン五重奏【全5巻】)

作家
ロレンス・ダレル
藤井光
出版社
河出書房新社
発売日
2012-11-07
ISBN
9784309623115
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アヴィニョン五重奏I ムッシュー ---あるいは闇の君主 (アヴィニョン五重奏【全5巻】) / 感想・レビュー

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syaori

始まりは夜。アヴィニョンへ向かう列車のなか。そのきっかけは妻の兄であり友人であるピエールの自殺。なぜ彼は自殺したのか。記憶をたどって広がる物語のなかで語られるのは、彼ら三人の小説を書いたサトクリフの転落、二つの三角関係と近親相姦、同性愛。そしてグノーシスの教義とピエールの部屋の死の地図、ド・ノガレの城とテンプル騎士団。どれもがひどく断片的で、朧げに全貌をつかんだと思っていたら最終章で衝撃が。誰が何を書き、何を誰が語っていたのでしょう。夢から覚めたと思っていたら、まだ美しい夢のなかにいたような気分で次巻へ。

2017/05/08

兎乃

記憶軸をメロディに、身体で感じる空間軸はアヴィニヨン・プロヴァンス・エジプトへと拡大。放たれる時空軸は密室なリズムを保ちながら 細密な言葉によって多重構造を編む。時の蛹が開き、過程と死という蝶が羽ばたく。21世紀に入り、グノーシス的展望は再度 否定と忘却の大地に埋葬され、マリア的母性は 知性の自己増殖の危険を察知して、その力を押し止めることに成功した。かつて,隠された根源に向かって探求し 見える世界に埋没する事を拒否したソフィア的子供達の物語。僕が僕を生みなおす。ダレルは一筋縄ではいかない。次巻待望。

2013/05/12

みねたか@

流麗な文章から紡がれる豊穣なイメージ。アヴィニョンの荘園,そして物語の核の一つになるであろうエジプトにおける宗教体験の比類ない美しさ。しかしながら,その饒舌な語りは回想と現実の間を行き来し,容易に物語の全体像をつかませない。加えて,最後には現実と思っていた世界について,語り手が姿を現し・・・。いまだ壮大であろう物語世界の一端を垣間見たに過ぎないのだろう。心して2巻目に進むべし。

2018/10/02

mejiro

装丁に惹かれて手に取った。謎だらけの内容。グノーシス主義、テンプル騎士団など神秘的なキーワードが顔を出す。フランスやエジプトの抒情的な描写が美しい。比喩が凝っている。第4章あたりから作者と登場人物の複雑な関係に混乱した。先が気になるとともに、最後まで読めるか少し不安。

2015/01/21

rinakko

第一巻を読み終えただけの今、残された謎は胸奥に凝っているけれど、一つ目の物語は既に美しい光芒を放つ残像のようでもあり…(もう少し浸っていたいが)。プロヴァンス地方の都市アヴィニョン。かつて幾度も不在にする度に、町に取り戻してもらおうと願った“僕たち”。彼らの物語がこれからどう変容し、どう変奏されていくのか。三位一体の如く結ぼれた三角関係の話がすこぶる好きなので(その強固な閉じ具合といい、脆さといい)、そこのところから魅了されひき込まれた。

2013/04/03

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