戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス)
戦後SF事件史---日本的想像力の70年 (河出ブックス) / 感想・レビュー
HANA
戦後、海野十三や安部公房から3・11までSFの流れを追った一冊。とはいえ含まれる範囲は純粋なSFに留まらず、アニメや幻想文学まで及んでいる。個人的にはSFはここで言う第一世代と伊藤計劃くらいしか読んだことがないので、幻想文学系の方にシンパシーを感じながら読む。あと全体的に事件史と銘打っているものの事件らしい事件は『太陽風交点』事件だけで、あとは通史っぽいんだよなあ。ただ文面からでも創設期独特の作家とファンの一体になった明るい熱気は感じられて、そこに参加している人々が酷く羨ましく感じられた。
2015/01/03
Koning
高校の現国の授業で第二次戦後派の安部公房や大江健三郎を読んでレポートを書けというのがあって、一人そんなの関係ないとばかりに安部公房から日本のSFのどーたらこーたらというレポートを書いた黒歴史を思い出した。いや、でもまさしく安部はそうだよねなどと安心してもみたり。基本は戦後のSF業界の歴史とそれに近いサブカル、反体制な人たちのやらかしたことを綴りつつSFムラのいいとこ探しをする感じですかね。赤瀬川や唐の話は関係ないじゃんって思う層が多そうだけれどバラードなんかの流れにもってくには必須だったんだろうなぁとも。
2012/10/17
garth
てっきりSFが起こした事件の歴史、オウム真理教や太陽寺院みたいなものについて書かれているのかと思ったのだがまったくそういうものではなく、オウムは「SF的想像力の産物というよりも、二次創作的欲望に発していた」と退けられてしまう。やはりその事件史はぼくが書かなければならないらしい。
2012/03/16
サイバーパンツ
個々のトピックの掘り下げは浅いが、SFオタクが語る戦後~現在までの日本SF概観史として見れば、大量の資料を参照しているし、かなり網羅的。幻想文学やアングラ演劇、赤瀬川原平を中心とした現代美術、果てはマンガ・アニメまで、SF的想像力が各時代でどのようにして波及していったか、様々なジャンルを横断しながら辿ってくれる。いい意味でオタクっぽい本。
2018/01/18
春風
SFの歴史じゃなくSF界の歴史。客観的な歴史というより半ば個人史的な本として読むべき。扱う出来事や人物の取捨選択に著者のメッセージ性が色濃い(例えば神林長平や瀬名秀明、浅倉久志は一回も出てこない)。
2012/03/02
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