平成史 (河出ブックス)
平成史 (河出ブックス) / 感想・レビュー
きいち
正直、この二十数年の歴史がこんなにエキサイティングなものだとは思いもしなかった。考えてみれば、近代の後の時代の「世界最先端」の苦闘の歴史なのだし、自分もそのプレーヤーのひとり、当然と思えなければ。/小熊は構想力の欠如を言っているが、あるべき姿がどうか、の構想よりも、あるべき姿をみんなでどう決めていくかという構想のほうが重要性が高いのだから、過去を参照したいというのも大切なキーファクターのひとつ。それも包摂したうえで、この先少しでも有効そうな手立てをああでもないこうでもないと語り合うことが答えと感じた。
2013/02/08
勝浩1958
日本の情報化はデフレ消費を推し進めたくらいのものであるという評価は手厳しい。買い物するにしてもインターネットで様々な情報を取り寄せて比較することはできるし、わざわざ店まで行って買う必要はなくなってとても便利になったのだが、便利=幸せとは限らないのだろうな。苦労して手に入れることによって、充実感を味わえることもあるだろう。小熊氏は締めくくりとして、「平成史」とは、ある国が、自国が最盛期だった時代を忘れられず、その時代の構造からの変化に目をつぶってきた歴史と定義づけている。日本は、楽な道を選択したわけだ。
2012/11/08
アメヲトコ
平成24年8月刊。およそ4分の1世紀ほどが経った「平成」時代の動向を、政治、地方と中央、社会保障、教育、情報化、国際環境とナショナリズムという切り口から論じたもの。著者は編者の小熊氏以外はいずれも70年代以降生まれの若手で、データの裏付けもしっかりした密度の濃い内容です。就活を控えた学生さんなんかにとっては、これを批判的に読むことは非常な勉強になるように思いました。
2014/10/11
遠山太郎
総論の小熊英二さんの部分だけ読んである。2・3年前に出ていれば興論がかなり変わっていただろうな、と思うぐらい良かった。でも民主の失敗と震災で社会の脆弱さが露呈したからなんだろうけど。それにしても河出書房さん、いい仕事するなぁ。経済学者と労働学者の人がそれぞれ載ってないって言ってたので、シノドスさんとかやってほしい。
2012/11/21
ひでき
<総説> 「特定のライフコースしか想定していない」日本の社会保障に子供の頃から矛盾を感じ、共働きを二十数年実践し、流石に疲れたわが人生。やっと「先延ばし」の限界を震災以降に多くの人々が認識しはじめた今、なにをするべきなのか? 社会保障に頼らず、自らの力を再認識し、今何が幸せなのかを問い続け、実践していくこと。思考停止に陥らないこと。 筆者が「単一民族神話の起源――<日本人>の自画像の系譜」以降、考え続けた今の日本を捉えた良書。
2012/10/26
感想・レビューをもっと見る