澁澤龍彦全集〈20〉 狐のだんぶくろ,マルジナリア,華やかな食物誌,エロス的人間 他
澁澤龍彦全集〈20〉 狐のだんぶくろ,マルジナリア,華やかな食物誌,エロス的人間 他 / 感想・レビュー
梟をめぐる読書
八〇年代も半ばを迎えて、いよいよ〝晩年〟の感を強くしていく時期の著作が揃う。『狐のだんぶくろ』は、〈わたし〉にとっての「黄金時代」である少年期をのびのびと回顧したエセー。同時代の現実から一時身を離し、ノスタルジーの世界に遊ぼうとする著者の様子が垣間見られる。『マルジナリア』は随想のままに書かれた短文から本格的な批評、さらには旅行記まで幅広く含む、もはや堂に入った感のある〈寄せ集め〉エセー集。内外の文学作品ばかりでなく、「E・T」やピーターパンのような意外な作品についての注釈もあり面白い。
2013/07/29
723
チョロギをしらなかったわたし。知らなかったことを一つしるたび わたしも蒐集家になったような気分でそれを記憶の中にしまいます。夢の標本という言葉が「夢のかたち」にでてきたので、私も目に見えないもので標本を作ろうと思います。きっと楽しい。
2011/09/06
季奈
小説続きだった全集も、ここでエッセイのみの収録となる一冊に。 しかしこれまでの博物誌的なエッセイとは離れ、読書ノートのような形の「マルジナリア」や、ローマの饗宴から二十世紀のガストロノミーまで押さえた「華やかな食物誌」など、これまでの傾向から見ると、やや異色のエッセイといった趣である。 マルジナリアの対となるはずであった「イマジナリア」が途中で連載中止となったのは、澁澤も心残りであっただろう。 全集も別冊を除けばあと二冊、徐々に筆者の死は近づいている。
2021/11/14
感想・レビューをもっと見る