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鏡花幻想譚 4 絵本の春の巻

鏡花幻想譚 4 絵本の春の巻

鏡花幻想譚 4 絵本の春の巻

作家
泉鏡花
出版社
河出書房新社
発売日
1995-08-01
ISBN
9784309706948
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鏡花幻想譚 4 絵本の春の巻 / 感想・レビュー

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えみ

道徳の抵抗か。所帯を持つ男とその男との密会へ向かう女・お国。2人の身に起こった偶然の一致。偶然…偶然?そんな安易に泉鏡花が偶然の一致に真相を据えるわけがない。それを信じるお人好しはここにはいないぞ!とこの後の展開を疑いつつ物語を進めていく。そこに何を仕込んだか。2人が目の当たりにした驚愕とお国の発狂がその答えとなる。逢引きに向かうお国の着物の裾がほつれてしまった。なんてことはない出来事から始まる恐怖。見知らぬ老婆から借りた針と糸でほつれを縫い留めた彼女の体験は男の見た悪夢と一致して…憑かれている。(絲遊)

2024/01/31

yn1951jp

鏡花の描く幽霊は無残に美しい。芸妓の口が血だらけに…生々とした半熟の小鳥の血…白い桔梗の咲き乱れる真青な桔梗が池の奥様…気の籠った優しい両眉を懐紙で隠し「似合いますか」…座敷は一面の水、雪の気はい、白い桔梗の汀ぎわに咲いたよう。(眉かくしの霊) 巳の年月の揃った若い女…雨戸にその女を赤裸で鎹で打った…真白な腹をずぶずぶと刺いて開いた…逢魔が時の裏木戸…美しいお嬢さんが「絵解きをしてあげますか」…草双紙は巳巳巳の話。(絵本の春)女性の怨みではなくその美しさを現世に残そうとした幽霊譚は鏡花独自の美学。

2015/07/24

まさ

艶やかで哀しくて慄然として…。未読の作品も何度も読んだものもそれぞれ幻想的で、鏡花の魔の世界に惹き込まれる。冒頭に各作品の登場人物や語彙の解説があるので入り込みやすい。

2020/07/12

凛風(積ん読消化中)

『絲遊』『眉かくしの霊』『絵本の春』『貝の穴に河童の居る事』の4篇を収める。例によって、美文の陰に恐怖あり。はじめの3篇は、相当こわい。『絲遊』は不倫男女が逢引きするまでは、男は朝早くから家を出てしまうし、女は出会いの柳の木のことを思い出して、柳の青葉を連想させる緑を見るたびにドキドキして、あまりのトキメキっぷりに不倫とは言え、応援したくなる。が、会ってからは、奇妙な恐怖に襲われる。他2篇もひたひたと怖い。それに対して『貝の…』は河童が出て来るだけで雰囲気が明るく、楽しい。鏡花の文体にもずいぶん慣れた。

2021/10/11

Takashi Edamoto

怪談から児童向け文学まで、と思ったが『絵本の春』は子供向けでないか? 簡潔な文章だが、鮮やかな色彩がぱっと浮かぶ言葉を連ねるのは素晴らしい。

2013/09/08

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