太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-4)
太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-4) / 感想・レビュー
starbro
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第四巻は、フランスを代表する二人の女性作家のコンビネーションでした。オススメは、【読メエロ部】的作品『愛人 ラマン』です。続いて第五巻へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/
2021/03/12
藤月はな(灯れ松明の火)
「太平洋の防波堤」のみ、読了。「愛人」同様、マグリット・デュラス自身の家庭環境が透徹とした文章で語られているため、所々、辛い。支那海を太平洋と見定めて浜辺近くの畑に塩害が起きないように防波堤作りに執着する愚かな母親に育てられたシュザンヌとジョゼフ。勉強嫌いのジョゼフに勉強させ、生計を立てるシュザンヌを「売女」として何度も殴りつける母の姿。ジョゼフが成長し、防衛できるようになった事を内心は喜んだ事と合わせると嫌悪感しか沸かない。閉じられた環境に居る女は何故、自分より、弱い存在を虐げるのか?しかし、最後は救い
2017/03/07
naoっぴ
サガン「悲しみよこんにちは」を読了。なんという透明感か!ティーンエイジの危うさと繊細さに真夏の太陽の光がこれほど似合うとは。青い海、松林、船、陽の光に満ちた美しい景色の中、父と娘と、家族になるはずの女性と、それぞれの恋人たちのひと夏の物語。17歳のセシルの刹那的な考えとふとのぞく万能感、恋に恋する気持ち、どれをとってもキラキラと眩しく、サガンの感受性豊かな表現に惹きつけられた。抑制のきかない反発心は若々しくとても苦い。初めて知る喪失の悲しみのうしろに、大人に一歩近づいたセシルをみた。
2019/06/05
naoっぴ
デュラス「太平洋の防波堤」を読了。文章が流れるままに読んでいくような物語だった。毎年高潮につかってしまう痩せた土地に住む一家の母、息子ジョゼフ、娘シュザンヌ三人の貧しい生活と恋。シュザンヌに寄ってくる男との恋の駆け引きの関係は官能的で美しい。けれど彼女の心の中ではどんな男よりも兄ジョゼフの存在の方が素晴らしく、誰も好きになれない。起きる出来事は曖昧でゆるゆると流れ、なんとなく過ぎてゆく日々が、どうにもできない貧しさと相まってやるせない気分になった。
2021/04/25
syota
【愛人】[G1000]母親や交際相手をはじめ、周囲のすべて、自分自身さえも醒めた目で眺めている“わたし”が印象的だ。熟年女性が過去を振り返る一人称の文章と、少女時代の視点で語られる一人称の文章、それに三人称の文章が混在する独特の文体が、作品の雰囲気を決定づけている。【悲しみよこんにちは】[G1000]熱気、束縛に対する反発、心の揺れ、抑えの効かない暴走、若さゆえの残酷さ。“性的に奔放な10代女性”が主役という点では「愛人」と同じだが、内容は正反対だ。私としては若さがストレートに表現されているこちらが好み。
2016/01/07
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