アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12)
アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12) / 感想・レビュー
starbro
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第一期全十二巻、6,000頁弱、完読しました。本巻は、イタリアン人女性作家のカップリングでした。オススメは禁断の継母への恋、『アルトゥーロの島』です。 続いて第二期へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/
2021/04/23
藤月はな(灯れ松明の火)
侭ならぬ自分の恋心とやがて訪れる他者への幻滅という揺らぎを描いた二篇。『アルトゥーロの島』は、自然描写が少年の初恋に惑う心と同調するように本当に美しく、描かれている。一方で、ロメオに執着する父ウィルヘルムの結婚した筈の敬虔なヌンツに投げ掛けられる「女」や「母」という存在に対する言葉に込められた「女」という存在への侮蔑や嫌悪感の苛烈さに心が竦みます。でもアルトゥーロのヌンツへの恋って飽く迄も自分勝手で子供っぽさがあるんですよね・・・。自殺未遂の場面は「ウェルテルかよ!」とツッ込んでしまいました。
2017/04/13
ぞしま
『アルトゥーロの島』だけ。(モンテフェルモは昔文庫で読んだ)。エルサ・モランテの文章からとても強い「女性性」みたいなものを感じて、それは半ば予感していたことでもあったのだが、なかなか読むのがしんどかったところも正直。ただ随所に瑞々しさが散りばめられており、歳の近い母親との関係もそうなのだが、父に対して、憧れが憎悪に変わり、それが消え去って初めて愛し始めた、というようなくだりは感動してしまった。
2021/08/14
秋良
二編とも一人称、アルトゥーロは自伝風、モンテ・フェルモは書簡形式。つまり、どちらも自分の言いたいこと言い放題。アルトゥーロの思春期ゆえの潔癖さ、父への崇拝から幻滅、義母への愛憎のエネルギーは凄まじく、島の穏やかな風景とのコントラストが鮮やか。モンテ・フェルモは自分でも止められない恋心に振り回され、くっついたり離れたりしながらも細い糸で繋がりあう大人たち。私はお腹が大きいのが好き、だから妊娠したいというルクレツィアにドン引き。
2019/04/02
ゆき
『アルトゥーロの島』思春期の少年の甘酸っぱい成長を丹念に描いてます。細部の美しい描写がとても素敵でした。『モンテフェルモの丘の家』原題は『町と家』だそうです。タイトル同様、ちょっと現実を突き放して距離をとった書簡形式。人が死にまくったり、結構ドラマチックだけれど、でも小説にのめりこんで登場人物に親近感を覚えました。文体と物語が程よく混ざり合うような感じでした。読み終わって須賀訳のタイトルを改めて見ると、とても好き。
2009/06/06
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