失踪者/カッサンドラ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-2)
失踪者/カッサンドラ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-2) / 感想・レビュー
starbro
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第十四弾Ⅱ-02、本巻は、チェコの男性作家&ポーランドの女性作家のカップリングでした。オススメは、カフカの『失踪者』です。 続いてⅡ-03へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/
2021/05/13
藤月はな(灯れ松明の火)
「予言」をテーマにした巻。カフカの不条理コメディともいえる「失踪者」は誘惑された女中を孕ませ、親から勘当同然でアメリカへ送り出されるカール君、17歳の波乱万丈。しかし、若さ故の潔癖や正義感で一言多い感が突き抜けている彼に、なあなあで生きている私としてはどこか、「ええい、まだるっこしいねん、アンタ!」とイラっとしながら読んだのでした^^;トランクを失くすというのは『麦の海に沈む果実』みたいな始まりだし、アメリカの令嬢から艶っぽい誘いを受けたのに令嬢と取っ組み合いになり、負けそうになるという展開に爆笑と頷き。
2017/04/24
秋良
アメリカへ渡ったカール君(なんとカフカはアメリカ未訪問!)が詳細は端折るけど色々と残念な目に遭う「失踪者」とカッサンドラ視点でトロイア戦争を振り返る「カッサンドラ」。カフカはもう……もう……読みやすいのに意味分からない。よく分かんないけど好きだ!イリアスとオデュッセイアとアガメムノンを読み直したくなった。
2019/04/27
ゆき
『失踪者』再読。長編3作の中ではやはり一番好きかも。外力に対する主人公の必死の抵抗が無駄になる、このバタバタとした感じと滑稽さ、喜劇的なところが私にはたまらないのです。『カッサンドラ』ウルフの影響を受けているせいか?文章はとっつきにくいですが途中からは吸い込まれました。英雄譚を裏側から捕らえるとこうなるのか!という物語。滅亡する側、女性の側からの視点。そしてその悲劇は現代にも通底するので心に響きました。
2009/06/14
hutaketa
【カッサンドラ】[こんなことは何ひとつギリシャ人の歌い手たちは、伝えないだろう]僕はカッサンドラの運命を知っていた。カッサンドラも自分の運命を知っていた。予言の力を授かると同時に、ある意味でそれを失うエピソードが示すように、彼女はそこにいながら今ここで生きている。だからこれはトロイア戦争の物語を装った、我々に向けた告発である。素晴らしいのはそれだけでなく、この作品から力強い「いいえ」が響いていること。「トロイアの女たち」前日譚としても◎
2010/12/29
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