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ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2)

ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2)

ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2)

作家
ギュンター・グラス
池内紀
出版社
河出書房新社
発売日
2010-05-14
ISBN
9784309709642
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ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2) / 感想・レビュー

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starbro

世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第二十四弾 Ⅱ-12、第二期完読、全体の80%(24/30)まで何とか辿り着きました。映画「ブリキの太鼓」のイメージで読みました。しかし主人公は、よく収容所送りにならなかったものです。 次回から第三期突入です。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/

2022/02/07

ケイ

あっぱれなるかな、オスカル。語りの運び方が見事。精神病院に収容されている不穏さで、話の行方を読めなくするなんて…。3歳で成長をとまらせ、子供だけがもちうる妖精のような力をもったのに、どこかで入る異性への興味のスイッチ。しかし、いずれおとずれる彼なりの成長期がうむ歪み。精神病院にいるから?彼の語りの矛盾はそのせいなの?その辻褄の合わせ方は、悲劇なのか滑稽なのか。巧みに混ぜ込まれるポーランドや少数民族の歴史。しかし、なんと逞しいことか。オスカルも。彼の一族も。ユダヤ人のご主人も幸せになっていますように。傑作。

2019/12/31

mii22.

混沌とした時代と場所(第二次世界大戦前後のダンツィヒ)を背景に自らの意思で成長をやめ永遠の3歳児の目線で世界を見つめ数奇な半生を送ったオスカルの物語。賢く悪魔的魅力に満ちたオスカルの奇妙で猥雑で滑稽なエピソードの数々がいつしか壮大な絵巻物となっていく。この愛すべき悪党は一人称と三人称で「ぼく」を語り「オスカル」を語り、比喩や寓意や妄想で読者を翻弄する。息苦しくて読みづらいのに面白い。軽快なブリキの太鼓を叩く音が脳を刺激するようなラスト数頁の爽快さはたまらなく心地よかった。

2020/08/05

ケイトKATE

正直、オスカルが自分の意志で3歳で成長することを止める設定に意表を突かれる。成長を止めたとはいえ、オスカルの心は成長しており、その視線は冷ややかである。特に、大人たちは滑稽に語られる。ギュンター・グラスは、なぜこのように書いたのか考えると、グラス自身、少年時代にナチスに協力していた忌まわしい過去と、大人たちへの不信感があったからではないだろうか。父親殺しだけでなく、母親殺しと国家殺しをしなければ前へ進めないと思って。『ブリキの太鼓』は、ブラックコメディだが、ナチズムの傷跡の大きさを感じる小説である。

2020/09/06

ヘラジカ

読破、というよりも踏破。紛れもない文学の高嶺からようやく帰還した気分だ。しかし、果たして本当に登り切ったと言えるだろうか。どんな山にも複数の登山道があるように、この巨大な作品にも幾つかの「読み方」があるはず。数多ある難所は当然一読で理解できたとは言えない。比較的楽な道を選んだのは間違いないのだ。それでもこの作品の衝撃は大きすぎるくらいに大きい。これ程色んな意味で消耗させる小説には、中々お目にかかれないだろう。先ず以て暫くの間、頭の中で反復し余韻を楽しみたいと思う。素晴らしい経験をありがとうございました。

2015/05/20

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