図説地獄絵をよむ (ふくろうの本)
図説地獄絵をよむ (ふくろうの本) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
地獄を言葉で語ったものは『往生要集』を白眉としていくつか残されているが、インパクトの強さという点では断然絵画だろう。地獄を描いた絵は、これも洋の東西を問わず数々残されているが、西欧ではボッシュ、ブリューゲルなどフランドル地方を中心とした北方ルネサンスの画家たちによるものが多いようだ。本書では、まず澁澤龍彦が『北野天神縁起』を軸に地獄図を語っている。凄まじくもおどろおどろしい文字通りの地獄絵図である。後半では宮次男がやはり地獄絵を通観して見せる。やはり『地獄草紙』と『餓鬼草紙』に極まるだろうか。
2024/06/18
うえ
「日本の地獄絵としては…『地獄草紙』と聖衆来迎寺の『六道絵』が双璧であろう。しかし、禅林寺の十界図と呼ばれている絵には、最も日本的な地獄絵をみることができる。禅林寺の図は双幅で、一幅は上部中央に阿弥陀をおき、それをめぐって、畜生・阿修羅・人間・天界が描かれ、他の一幅は、上部中央に地蔵、その左右に十王を配し、下方に地獄と餓鬼界を描いたもので、地獄十王図と六道絵とを合体した形式をとる…その地獄の部分をみると、向かって右側から、三途の川にかかった橋には貴人の姿をした男女がおり、これは地獄には堕ちぬ善人であろう」
2018/10/30
ブラックジンジャー
そうだ、地獄絵って…仏教だったんだ!と今更ながら思いました。人間はちゃんとグロテスクに描かれている分、鬼さんたちの可愛らしさが目立つ。
2013/07/27
blue_elephant
前回読んだ「地獄絵の世界」よりも、地獄絵の解説と時代背景がわかりやすかった。最初の章、澁澤龍彦氏の『地獄絵と地獄観念』がヨーロッパにおける地獄感との対比、ヒエロニムス・ボッシュの絵画と取り合わせるなど興味深く読めた。『人道九不浄相之図』だけは、いつか実物を拝観したいものです。
2020/10/08
ルナティック
説明が詳しいです。地獄のネ。絵図に則り説明しているので嬉しいが、時々異なる説明&絵図のページもあるのはまぁ仕方ない。基本は「六道絵」と「北野天神縁起」それに「餓鬼草紙」描かれる絵図は、あまりにもリアルで恐怖恐怖。罰を受ける人々の表情を見るだけでも、地獄を感じる。日本には、寒い地獄は殆ど無いんだよね?火山の国だから、火が恐怖の対象になる。「阿鼻地獄(最下層地獄)の罪人は大焦熱地獄(その前の地獄)の罪人を見ると、他化自在天をみるように羨望するほどである」の言葉が身に沁みた。この想像力と描写力に脱帽。好きな本
2017/09/07
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