竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)
竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03) / 感想・レビュー
KAZOO
この巻は日本の古典を現代作家が現代語訳をしたもので、贅沢なものとなっています。竹取物語ー森美登美彦、伊勢物語―川上弘美、堤中納言物語ー中島京子、土左日記ー堀江敏幸、更級日記―江國香織です。森美さんのはまるで現代の物語を読んでいる感じで楽しくなります。堀江さんのはひらがなを多用して土左日記の名残を残そうとしています。伊勢物語の和歌の訳がこれまた川上さんならではのうまさ、どれも楽しめました。
2016/02/02
starbro
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ第十三弾です。当代の人気・実力を備えた作家が古典を現代語訳する豪華な一巻です。特に森見登美彦訳の「竹取物語」、 川上弘美訳の「伊勢物語」がオススメです。「夜這い」や「富士山」の由来が竹取物語というのは本当でしょうか?「業平橋駅」という典雅な名称を「とうきょうスカイツリー駅」に変更した無粋な人(責任者)は誰でしょうか?本全集では現代作家の巻(池澤夏樹=個人編集の偏りあり)よりも古典の現代語訳の巻の方が全般的にレベルが高いかも知れません。
2016/02/05
ケイ
森美登美彦「竹取物語」目当てで読み始めるも、次の「伊勢物語」で魂を抜かれるほどに艶めかしさや儚さに傾倒した。一行一行で立ち止まらせて味わわせる川上弘美の解釈と表現力は、原作の持つ力を取り込んでいる。「堤中納言物語」と「更科日記」はさらりと。勿論素晴らしいが、更科の“女子的な高揚感”は私の範疇ではなく…。「土佐日記」訳は男性で、紀貫之になりきって現代の読者に届けようとした凄みがある。一番の収穫は、島内景二による解題。日本の古典文学を全く読んでこなかった私にとっては、目の前に星が散るような衝撃だった。
2016/03/03
buchipanda3
古典の現代語訳集。訳者陣にも惹かれる。竹つながりの森見さんの竹取物語を楽しく読めた。かぐや姫は思えば今風なキャラだったのだなと。伊勢物語は一篇が短いが様々な愛や友情の叙情豊かな思いが感じられた。和歌の存在感、凝縮度に驚かされる。堤中納言物語はさらりとおかしみを読ませる短編の原点のよう。土左日記の自由闊達な文章を読むと紀貫之は愉しげな人だったのでは。訳も平仮名続きで物語の雰囲気が醸し出される。更級日記は中身も現代的な読み味。一人の女性の生涯。日々の中、現実からもたらされる情感を噛み締める機微が滲み出ていた。
2021/01/09
mocha
もりみーの『竹取物語』期待に違わず面白い!姫の元に夜這いしようと竹林をうごうごする求婚者たちはどこかの狸みたいだ。江國香織さんの『更級日記』現代女性と通じるものがあってとても身近に感じた。『堤中納言日記』も 読みやすく楽しい。『土左日記』は注釈をつけずに( )で補足したり、すべてひらがなで書いたりと意欲的な訳文だが、かえって読みにくいものになったかも。『伊勢物語』もっと時間をかけて読み込まないと、和歌には太刀打ちできないと思った。
2017/07/25
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