源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)
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源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04) / 感想・レビュー
さてさて
この物語には平安の世にこの同じ国を生きた人々の暮らしが、恋愛が、そして人生が描かれていました。そしてそこにあったのは、いつの世も変わらぬ男と女の物語、愛し、愛され、そして愛し合うという今の私達と何も変わらない”恋愛物語”でもありました。一千年の時の流れは角田さんの名訳をもってしてもある種の割り切りが必要な部分もあります。世界最古の長編小説の傑作を、長編小説の名手でもある角田さんが『読みやすさをまず優先』に訳したこの作品。多くの方に是非この作品を手にしていただきたい、そう感じた日本文学の傑作だと思いました。
2022/02/26
starbro
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ 、https://bookmeter.com/users/512174/bookcases 大トリは、千年を超える性愛の平安絵巻『源氏物語』です。本作は訳者があとがきで語っている様に『源氏物語』に対する訳者の偏愛がなく簡潔でニュートラルな美しい現代語訳です。通勤時間帯の満員電車の中の読書タイムですが、優美で風雅な世界に浸りました。続いて直ぐに中巻を読みたいのですが、2018年5月迄刊行されません。河出書房新社は刊行時期を見直すように。【読メエロ部】
2017/10/24
ケイ
光源氏が色々な女性と浮名を流す、ということしか知らずにきたが、角田さんの現代語訳が出たのを機に読む。読みながら、あきれ、憤る。ほとんど強姦のようなものではないか。なのに訴えることも出来ず。父親が夫でない子を事実を隠して産む話は生理的に受け付けない、というか、それで悪女ならいいのだが、そのクセして何かあるとオロオロ泣いて、病気になって何なんだろうと。こう思えば感情移入は不可能だが、この浮気男の行く末を見てやろうじゃないかという気にさせられた。非常に読みやすい訳。あと2巻が出るのは来年のようだ。
2017/11/05
アキ
2017年からずっと積読状態だったサイン本を7年越しにやっと読んだ。「源氏物語解説図鑑」を横に置いて参照しつつ、時代背景も少し理解できた。上巻は21少女まで。光源氏の数多くの女性との恋愛から、葵の上との間に出来た夕霧の登場までである。光源氏の恋愛だけでなく、須磨への移動、天皇の交代と政局の変遷など、長編小説の醍醐味を味わえる。角田光代訳の源氏物語は読みやすさを重視して翻訳したとあとがきにある。編者池澤夏樹が、翻訳の実例を挙げていた。翻訳者が薦める様に、物語世界を駆け抜けるように読み終えたい。
2024/01/02
ちゃちゃ
恋に懊悩し無常の定めに袖を濡らす光君の息づかいが、遠い平安の世から時空を超えて、まるで私たちと同時代を生きる人のそれとして感じられるような稀有な読書体験だった。世界に誇れる日本の古典文学として、格調を保ちつつも簡潔でわかりやすい訳に徹した角田氏に、感謝と敬意の拍手を贈りたい。特筆すべきは、光君の恋愛における心の機微を、現代小説を読む感覚で味わえたことだ。時折挿入される紫式部の絶妙で辛辣な鋭い「声」に、思わず苦笑しつつ楽しく読めた。上巻は、「桐壺」の光君の誕生から、政治的失脚を経て栄華を極める「少女」まで。
2022/04/20
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