源氏物語 中 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集05)
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源氏物語 中 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集05) / 感想・レビュー
starbro
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ 、 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases 遂に29巻目まで来ました。華麗なる平安絵巻、優美な文章、典雅な大和言葉、恋する詠歌、中巻も堪能しました。角田 光代が小説を断筆して訳しているだけあります。続いて直ぐに下巻を読みたいのですが、2019年11月迄刊行されません。河出書房新社は刊行時期を見直すように。
2018/11/20
さてさて
生きとし生けるものものの定めでもある人の世の儚さは、千年を経た今の世と何も変わらないことを教えてくれる物語。長編小説の名手でもある角田さんが『読みやすさをまず優先』してまとめられた筆致の元、今の世を生きる私達の心が、平安の世を生きた人達の心と何も変わっていないことに気付かされる物語。千年も後の世の人の心を動かす物語を書いた紫式部さんの凄さに改めて驚くとともに、そんな物語を私達の元に分かりやすく届けてくれた角田さんには、改めてお礼を申し上げたいと思います。上巻に引き続き、素晴らしい物語がここにはありました。
2022/08/20
こーた
玉鬘から若菜の絶頂をへて、柏木と夕霧から、幻へ。僕の年齢が光君と重なるせいか、この中冊はずっと愉しく読むことができた。光君にとっての孫が、僕にとっての子、と云う違いはあるのだけれど。僕と妻とは、光君と紫の上と年齢差がいっしょで、寿命も一般的には男のほうが短くもあり、将来は僕のほうが先に逝くに決まっている、と信じて疑わないが、もし万が一、何かの運命で妻が先に、なんてことになったらほんとうに恐ろしくて耐えられそうもない。だから、光君の悲哀は痛いほどよくわかるのだ。さて光君亡き後の世、いよいよ宇治十帖の下冊へ!
2024/03/10
ちゃちゃ
本文のない「雲隠」の帖。最愛の妻・紫の上を亡くした哀しみが癒えないまま、光君は静かに彼岸へと旅立った。更衣腹の皇子として誕生し、准太上天皇の地位に昇りつめ栄華を極めた光君。その生涯に寄り添うように読み進めた。特に光君の晩年、女三の宮の降嫁により、周囲に悟られないように苦悶懊悩する紫の上の姿が胸を打った。聖母のように慈愛に満ちた妻でありながらも、出家を認められず、儚い浮き草のような満たされぬ孤独を抱いたまま旅立つ様に思わず落涙。『源氏物語』が「もののあはれ」の文学と称される所以を堪能し、感無量の読後感。
2022/05/13
buchipanda3
今巻は前半が玉鬘、後半が女三の宮の話が軸となる。その境目に光君は栄華の極みを迎えた。ただ光君も年を重ね、世代差を感じたか老いへの不安か自嘲気味。玉鬘へのままならなさは従来と違うものに感じた。女三の宮の降嫁の件は懸念を持ちながらも立場と藤壺への縁で承諾してしまう。結果として自らの因果を知り、さらに紫の上への愛情がより深まるも世の無常の大きな痛みを受ける。最も大切な人のままならない思い、それを光君は解せたのだろうか。たとえ遅きに失しても。鏡のような池に映る二人の末永き姿を詠み交わすかつての場面が思い出された。
2024/08/10
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