源氏物語 下 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集06)
源氏物語 下 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集06) / 感想・レビュー
starbro
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ 、 https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11074101?sort=book_count&order=desc オオトリは、『源氏物語 下』 、足掛け約5年、全30巻、18,500頁強完読しました。角田 光代現代語訳の『源氏物語 』(全三巻、2,000頁強)は、 オーソドックスで読み易く美しい文章で素晴らしいですが、願わくはもう少し角田 光代色を出して欲しかったと思います。
2020/04/05
こーた
大河ドラマ『光る君へ』に背中を押してもらって、角田光代さんの素晴らしい訳(読みやすい!)に引っ張られて、何とかさいごまで読みとおすことができた。ありがとうございました!入水→出家へ至るラストの展開は、え、これ『平家物語』(といっしょ)じゃん、てことに、気づいてみれば以前どこかで聞いていたような気もするけれど、じっさいに読んでみることで、両者に(と云うよりは日本文学全体に)通底する「あはれ」に辿り着いたときの衝撃は、叫び出しそうなくらいの驚きであった。読まずに死ねるか、の一作、やっと読めた。読みおわって⇒
2024/03/27
さてさて
いつの世も浅はかな男の行動に振り回される女性の存在はあるように思います。1000年も前の世であればそれはなおさらのことであり、この作品に描かれる女性の人生の儚さにはなんとも切ない思いが残りました。1000年以上も前の時代にも、今と同じように悩み、苦しみ、一方で喜びと楽しみの中に人々が生きていたことに思いを馳せるこの作品。そんな人々の心持ちは現代の私たちと何も変わりはないことに驚きもするこの作品。100万字もの圧倒的な文章量の中に、紫式部さんがのこした平安の世の人々の生き様を見る傑作中の傑作だと思いました。
2023/09/16
ちゃちゃ
宇治十帖を含む下巻では、愛執に囚われた「人間」の弱さや愚かさが細やかに描かれて、胸に迫る。まさに「神」のような存在として絶対的な美と権力を手中にした光君。その亡き後の物語を紡ぐのは薫や匂宮、宇治の姫君たち。それぞれに欠落を抱えた人間として、その不完全さ故に私たちは共感の念を寄せることができる。人間とはかくも愛おしく愚かしいものなのか。読了して胸に去来するのは、「もののあはれ」…沁み入るようなしみじみとした感慨だ。いつの世も儘ならぬ生を受け入れ命尽きるまで生き抜く人間の業、その光と影。圧巻の読み心地だった。
2022/06/23
アキ
はじめて源氏物語(A・ウエイリ―版)を読了した時ほどの衝撃は感じなかったが、やはり現代の作家が訳した翻訳で読むと登場人物の心情をより近くに感じることができました。角田光代があとがきで、長期にわたりこの物語と時間を過ごしてきた感慨と、なぜ最後のヒロインが浮舟なのかということへの納得、唐突な終わり方への驚きを述べている。男女の想いのすれ違いは見事なまでに合わないままであり、千年経った現代においても、合わせ鏡のように同じようなことを繰り返しているようにも思ってしまいます。他の方の翻訳も読んでみたいと思います。
2024/01/09
感想・レビューをもっと見る