石川淳/辻邦生/丸谷才一 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 19)
石川淳/辻邦生/丸谷才一 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 19) / 感想・レビュー
KAZOO
この巻には、石川淳、辻邦生、丸谷才一の作品が収められています。 池澤さんの選ぶ作品はやはり若干マイナーな感じがするものが多い気がします。石川淳は「焼跡のイエス」「紫苑物語」「小林如泥」「鈴木牧之」「江戸人の発想法について」、辻邦生は「安土往還記、丸谷才一は「横しぐれ」「樹影譚」です。石川のあとの三作、と丸谷の「樹影譚」は随筆のような感じで私には初読ですが楽しめました。
2016/03/19
starbro
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集全30巻完読チャレンジ第十五弾です。ようやく半分まで来ました!三作家ともほとんど読んだことがありません。共通点は同世代で比較的長寿の作家だったということでしょうか?オススメは石川淳の「焼跡のイエス」と辻邦生の「安土往還記」です。パンクスで高校生の町田康が石川淳を愛読していたなんて初めて知りました。
2016/04/11
たま
丸谷の小説を読んでみようと手に取った。『横しぐれ』は、日本文学研究者の語り手が、父親が戦前松山で偶然出会った男が山頭火だったのではないかと調べるうちに父親の秘密を知る話。山頭火の句集、全集を調べて推理するところは面白く、山頭火その人の佇まいが浮かんで感心したが、父親の秘密が私には興醒め。語り手が秘密を知らなかったのも、秘密を知る契機も不自然。非常に深刻な内容なのに、その深刻さが作品内で充分に受けとめられず、意表を衝く趣向として弄ばれただけと感じた。『樹影譚』も同じく趣向自慢の軽薄さが目につく。
2021/08/11
ぐうぐう
今巻を読むと、この全集における池澤夏樹の編集方針がとても理解できる。それは、文学史の積み重ねにより新しい文学が生まれていくという実感だ。江戸文芸としての石川淳、ヨーロッパからの視点を用いる辻邦生、そして西洋モダニズムと日本の古典としての丸谷才一。特に丸谷の存在は、この全集の支柱としてあり、池澤にとっては灯台のような役割も果たしているはずだ。個人的には、辻の『安土往還記』がおもしろかった。欧州人から見た日本、そして信長のその新鮮な解釈は、私達に日本を再発見させる力を持っている。
2016/03/24
秋良
驚きのリアリティを持つ辻邦生の安土往還記。え、これ小説?と分からなくなって解説を見てしまうほど。外国人の目線から、織田信長とコルテスを重ね合わせるのがユニーク。石川淳、丸谷才一もそれぞれ「これぞ小説」と言うような骨太の虚構世界を読ませてくれる。
2022/04/02
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