愛という試練
愛という試練 / 感想・レビュー
Ted
愛を巡る両親の壮絶な関係を土台に、愛について考えた本。自然に愛せない苦悩ゆえに性愛や失恋についての考察は、深く経験した者でなければ書けないほど鋭い。愛を強要する風潮を拒絶する姿勢には共感。愛は常に執着や憎悪・暴力・支配などの負の要素を内包するという本質を故意に隠蔽しているからだ。愛の反意語は憎しみではなく無関心であり、「愛憎」と言うように表裏一体の関係にある。憎しみはその異なる相貌が何気ないキッカケで表面化したにすぎず、本質は同じ。この認識が欠如している限り、DVや幼児虐待はいつまでも繰り返されるだろう。
2010/10/24
ジョニーウォーカー
「目の前で家族が殺されそうになっても、私はけっして彼らを自然に助けることはできない。一秒の何分の一かは知らないがそこに理性が介入して、ナマの感情は“そうすべきだからそうする”という冷静な態度に変わってしまっている」…この心情がまったく理解できない人には、おそらく本当にくだらない一冊だと思う。逆に、少しでも理解できた人にとっては、これはとんでもなく刺さる一冊だ。きっと貪るように読了すると思う(かといってまったく救われはしないが)。まぁよくここまでえげつなく自分の闇を綴れたものだ…。閲覧要注意。
2009/11/27
Dokinko
家庭や恋人同士は狂気と憎悪の温床です。恐らく、程度の差はあれど似たりよったりの家庭はちまたにごろごろ転がってます。人々が皆哲学者なら、世界は既に破綻している。真実を見ないことが秩序を保っているのかもしれない。読み終わっての感想は、ただただうんざりです。
2015/10/11
ちろる
心の底から発生する哲学。現代の思想ってのは芸術論だとか、文化論だとかのほうに行ってしまいがちですが、こういうの読むと自分がそもそもなんで思想っぽいものよみたかったのかっていうところに立ち返ってしまう。ようは結構共感してしまうのですよね。そんなことをとても細かく一冊に仕上げちゃったところがものすごい。おもしろいし。こういうところを目指して大学入った人っていうのは何処に着地していけばいいのだろう。その形が小説じゃないっていうことも(ワタシにとっては)新鮮だった。
2008/08/10
絵具巻
文京区立真砂図書館で借りました。
2015/05/11
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