モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする
モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする / 感想・レビュー
ひつまぶし
前著『モラル・ハラスメント——人を傷つけずにはいられない』ほどのインパクトはなかった。職場におけるモラル・ハラスメントについて、改めて類型化しつつ解説を加えたという感じ。被害者や被害者を取り巻く状況についての記述は多い一方で、加害者に丸々割いているのは第12章くらい。職場という社会にも開かれた環境で起こる問題を扱おうとすると、パーソナリティ特性に依拠した分析では限界があるのだろう。個人とシステム両面を見ていく必要性を著者も強調しているが、説明すればするほど境界がぼんやりするジレンマに陥っている気がする。
2023/08/31
ecuas
こんな一方的な話があるかな。承認欲求の塊みたいな本。モラハラは問題と思うものの、被害者側の意見だけを参考に論を進められても納得はできない。「加害者の悪意を証明することは難しい」と悪意がある前提だったり思い込みがひどい。医者として治療したり法律家として争う立場なら一方的でも問題ないかもしれないが、そうでなければこんな確証バイアスに満ちた話は首肯しづらい。正しく評価されない、という話も多いがなぜ評価される側が正しいかどうか判断できると思うのか。加害者とされる人の気持ちや行動を決めつけた表現も多く逆に恐ろしい。
2023/04/17
こうじ
会社におけるモラル・ハラスメントについての本。前著に続いて、ものすごく気分が暗くなる本なんだけど、それがボリュームたっぷり(笑) ある意味で、自分の環境はまだマシと励まされるような効果もあるかも。世の中には理不尽なことは多いですが、誰がどう見ても理不尽なことに対しての無力さってのはつらいですね。
2019/07/31
borracho
モラ・ハラという行為自体は、日本では昔からあったし、原著のフランスではあまり存在しないと思っていたけれど、本を読んでいくと、企業のグローバル化やメールの普及でのコミュニケーション不足などが時代背景にあるのが分かってくる。つまり、国民性や国籍に関係なく起こりうる事だし、経営側からすると、監督責任を問われかねない事なのだろう。前著に比べて「組織として」の訴訟や予防策まで踏み込んでおり、解決策の提示にはなるが、調停や訴訟は日本人には馴染みがないのではないか、と思う点と、同じような記述が多く、500頁は重かった。
2015/05/01
よ〜こ
ふざけた装丁・ソフトカバー・500ページの3点セットでいい内容なのに読まれていないのではないか。自由の国フランス!少子化を解消したフランス!と思われがちだが、それが顕在化しているということは問題と解消も日々存在しているということだ。フランスでの出版は2001年だが今の日本の企業も教育機関もこんなものだと思う。資本主義とグローバル化が過成熟すると確実にこれを後追いするが「欧米ではぁ!」と鼻息荒い夢見がちな人は早く目を覚ますか永遠に寝てろ。現実に違和感がある人だけ読めばいいよ。
2010/12/04
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