暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待
暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待 / 感想・レビュー
マエダ
神経犯罪学という脳や自律神経系などの生物学的な構造や機能の欠如がいかに反社会性を生みだすのかが本書の主テーマとなっている。最終章のロンブローゾ・プログラムは初めて知ったが圧感の読み応えであった。
2017/09/21
藤月はな(灯れ松明の火)
暴力とは遺伝か環境か?私は父に性格がよく似ています。そして怒りを抑え続けた結果、その噴出の仕方が激しく、いずれ、父のように気分次第で自分の子供に怒鳴りつけたり、叩いたりすることが怖くて仕方がない時があります。暴力や犯罪には環境などの社会的要因ではなく、脳の活動範囲などの生物学的要因も絡んでいるということを示した研究。だが、脳の反応が暴力的なパターンになっているからと言って個人の意志を無視した隔離やロボトミー手術、投薬治療を行うのは本当に正しいのか?その暴力的なパターンが自分を守るためや一時的な場合は?
2015/05/10
デビっちん
脳の奇形や機能的異常が暴力や犯罪に結びつくことを、生物学、心理学を切り口に解説してくれています。犯罪を犯す可能性が高い先天的な遺伝要素があるんですねぇ。後発的にも脳に機能的な異常が発生すれば犯罪を犯す可能性が高まるとの記載もあって、頭を守る意識が高まりました。それは、物理的な殴打からだけでなく、見えないストレスからもです。
2017/12/29
ばんだねいっぺい
衝撃の書。物の見方が劇的に変わり得る力を持つ本。「神経犯罪学」の知見が「健全な社会」の構築へ結びつくといい。その結果、ジョージ・オーウェルのディストピアになったら元も子もないけど。
2016/11/09
かんやん
犯罪者の脳や自律神経の機能・構造の異常と、彼らの犯罪の相関関係は統計的に有意である、つまり、因果があると言える。さもありなんと思うが、このような研究は優生学に繋がるとして、長らく社会学者・心理学者に批判されてきた。ロンブローゾの犯罪生得説の復活であると。しかし、一方で著者のバイオソーシャルという考え方は、単純な遺伝決定論ではなく、環境にも重きを置いている(脳や遺伝子は可塑的であるが故に)。環境としては、胎児期の母の飲酒・喫煙、幼児期の愛着関係の欠如、栄養不良や重金属の暴露などがある。
2024/05/24
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