しろばんば 下 (日本の文学 35)
しろばんば 下 (日本の文学 35) / 感想・レビュー
神在月
おしなべて下巻のほうが全然面白かった。ひよどり事件の場面は自分が書いた小説と重なる部分があり、巨匠と感性が似ていると個人的にうれしくなった。「ひどく傷みやすい感情」に対する戸惑いやあるいは女の子の行動は、個人や時代によって変わっていくものかなとも思う。大正時代はこうであっても昭和では対応が異なってしかるべきだと思うし。物語の主要な流れが停留所と温泉によって裏打ちされていてその二つで収斂されていくのは実に鮮やかであった。これは見習わなければならないと感じた。
2018/05/26
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