サイバーパンク・アメリカ (KEISO BOOKS 4)
サイバーパンク・アメリカ (KEISO BOOKS 4) / 感想・レビュー
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86~88年にかけてSFマガジン等に掲載されていた特集に大幅な加筆・修正を加えまとめたもの。80年代に興った<サイバーパンク>という「運動」が「現象」になり、新たな一つのジャンルとしてサブカルチャーに浸透していく流れを、サイバーパンク周辺の人物や作家のクローズアップやインタビューも織り込みつつ捉えていくドキュメント。サイバーパンクが発展的「解消」を迎えてから大分年数が経ったが、サイバーパンクが描いたユビキタス化は現実社会でますます進展している。本書で語られているテーマは今なお古びず、興味深く示されている。
2012/04/27
えふのらん
80年代末に書かれたサイバーパンク総括、なのだけれどスターリングはヒッピー文化の関係を匂わせるばかりで定義などそ知らぬ顔だし、ギブスンはサイバーパンク作家と呼ぶなと断言しているからこのジャンルが”何”なのかは最期までわからない。そもそもエリスンやネヴィラ賞の審査員、それを取り巻くあらゆるSF環境への対抗文化として生まれたジャンルだから”何か”である必要はないのだろう。とにかく皆がレッテル張りに敏感で他人との違いを協調している。
2022/05/11
wang
1980年代以降アメリカを中心に世間を席巻したサイバーパンク運動。これを始祖的存在で中心にいた人たちへの評伝とインタビューで再構成。作家、編集者、批評家など。単に影響し合った作品群をひとくくりにしてジャンル名を付けただけではなく、運動として積極的に同じような作品群を作って行った運動と呼ぶに相応しい活動だったと知った。共作や積極的な議論を通じてポストニューウェーブのSF小説を創出しようとしてきた。それはSF小説にとどまらず映像や音楽・詩作などを通じて今では当たり前に存在するものになってきている。その始まり。
2013/03/20
牙魔
なぜこんな昔の本を借りたかと言うと、NHKでやってた「世界サブカルチャー史」から。熱く語ってらした巽先生が約40年前に書かれた本誌もやはり熱い。そもそも当然ながら英語でやりとりされている事に感服です。90年代に海外駐在していた時に、Chiba Cityが出てくると聞いて原書で買ったニューロマンサー(結局途中で挫折しましたが)。ギブスン以外はほとんど知らない名前ばかりですが、とにかく盛り上がっていたことは感じられた。タケシが出てた映画もギブスン原作でしたね。
2024/07/31
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