言語ゲームと社会理論―ヴィトゲンシュタイン ハート・ルーマン
言語ゲームと社会理論―ヴィトゲンシュタイン ハート・ルーマン / 感想・レビュー
ころこ
ウィトゲンシュタインの言語ゲームを社会学に応用しています。まず、議論の基礎となる1章のウィトゲンシュタインの解説が明快です。前期の写像理論も後期の言語ゲームも丁寧かつ簡潔で、著者の今まで一貫した姿勢が伺えます。これだけでも読む価値がある文章です。2章にハートという社会学者が登場します。否定的言説によってあぶり出されるウィトゲンシュタインの言語ゲームに対して、積極的言及によって示されるハートの議論が、ハートの議論中の一次ルールである法的ルール(消極的)と法的言説である二次ルール(積極的言説)に上手く重なると
2018/12/29
またの名
元ネタを考案したヴィトが理論化を避けてあくまで断片的なツッコミスタイルに徹し記述した言語ゲームを、あえて論それも社会学のモデルとして再構築。人々が行ってる言語ゲームの外側に出ようとしたところで別の言語ゲームの中へ新たに参入するに過ぎないとしても、逆に言えばメタ視点に立ったつもり(で本当はゲーム内に閉じ込められたまま)の理論的言説もまた一つのゲームとしての地位を持つ。こう考えて通常の言語ゲームに対するメタ言語をハートの法学説が語る一次ルールに対する二次ルールに重ね正当化し、広い応用可能性に開く。果敢な先駆。
2019/03/05
き
ヴィトゲンシュタインの言語ゲームを、ハートとルーマンの法理論の比較を通じて、素人にも分かり易く説明しようという試み。それでも正直難しいが、ヴィトゲンシュタインの著作から入ったのでは到底無理なので、橋爪先生に感謝。この本を読むと、ヴィトゲンシュタインはその後の社会学に大きな影響を与えているのがわかる。人やその社会を形成するのはナニかという根源的な問いへの答えに迫る良書です。
2018/07/27
夕刻
良書。ヴィトゲンシュタインの言語ゲームの概念の説明から、彼の哲学の実践(ハートの法概念)まで扱っており正しく理解できているかが問われる構成になっている。が、結局本書で言語ゲームの直接的定義はされていない。というのも定義自体が言語ゲームでありトートロジーに陥ってしまうから。難解ではあるが読み応えはある良い本です。一次ルールと二次ルールを用いるのはなるほど確かにと頷ける考え。
2011/09/02
じょに
とりあえず良著でしょう。この本がなかったら社会学はウィトゲンシュタインを扱わなかったかもしれないらしい。
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