生命学に何ができるか: 脳死・フェミニズム・優生思想
生命学に何ができるか: 脳死・フェミニズム・優生思想 / 感想・レビュー
nbhd
「田中美津論」だけ読む。田中美津さんってすさまじいな、すさまじすぎるわ、「いのちの女たちへ」絶対読みたいわ。の、一方で、著者の森岡さんが美津さんの言葉を受け取って「男は女にどう向き合うのか」を書いたあたりの覚悟と迫力もすごかった。鉛筆で書き写したいくらいだ。森岡さんは、男の痛みを3つに分ける。①「男らしさ」に抑圧される痛み、②女に与える痛みを男が知った時の痛み、③女の痛みは男には結局わからないという痛み。こうした痛みに男はアワアワする、とり乱す。男は、このとり乱しを生きるしかない、と森岡さんは考えている。
2021/02/16
ask_smmt
脳死や男性学のパートにはあまり惹かれなかったが、リブと青い芝の会の対立、および解消していない問題における論点の整理は明快で、勉強になった。
2024/01/27
えぬ共同体
「いのち」に線を引き、「権利」としてそれを言い切る「生命倫理学」が無視してきた、脳死や人工妊娠中絶に際して揺らぎ、「とり乱す」「私」、そのリアリティを真正面から取り扱う「生命学」の理論的基盤の書。 特にウーマンリブの中心人物たる田中美津について論じた部分は必読。田中の生/性と「殺人」としての中絶を考え抜く極限的な思想と、それに男性として否応なく動揺し、自らのセクシュアリティを問い直す著者との対話は、本書を読み進める私たちをも「とり乱」させておかない。
2021/09/21
サラ
レポート用。非常に読みやすく、読んでいて苦ではなかった。
2013/07/03
YASU
まず田中美津論とくにとり乱し論考が秀逸だと感じた.そこからの,内なる優生思想との接続.人間だれもが孕む「よくありたい」という欲望.誰もが持つ,他者を犠牲にしてでも,という感情.それを悪だと認めよ.そのうえで,不可知な他者との出会いによって人はとり乱す.そうした自己を見つめよと.この哲学者は,だんだんと哲学から外れていく.そこが魅力.
2022/09/23
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