乱視読者の英米短篇講義
乱視読者の英米短篇講義 / 感想・レビュー
Tonex
アメリカとイギリスの短編小説についてのエッセイ集。索引と文献リストが充実している。◇昔好きだったが評価が下がった作家。46頁:ピンチョン、バース、バーセルミ、ヴォネガット。146頁:レイ・ブラッドベリ。◇81頁、ナボコフの「ヴェイン姉妹」を翻訳した話。原文の「かきつばた」の趣向を、江戸川乱歩「二銭銅貨」の手を拝借して訳した。▼著者はナボコフ好きなので、全然関係ないところで強引にナボコフの話が始まる。索引を利用して、ナボコフが出てくるところを中心に拾い読み。
2016/02/24
きりぱい
小説とは何ぞやの問いに「水増しした短篇小説」とビアスが答えたとか。妙に納得してしまうな。コンラッド・エイキン、ジョン・チーヴァーと誰?な人も出てくるけれど、それでも面白い。読んでいても読んでいなくても、へーとそそる読解で他の人の解説に首をかしげるところもいい。何がきっかけで英米文学に触れどう辿り、誰を偏愛し、誰の文章を素晴らしいと言うか、そういう話も好きだ。「アダムとイヴとツネッテ」の解明はいいなあ。そんな若島先生も共訳相手に「女に対して見る目が甘い」とたしなめられ、女性心理に苦手なことを告白していたり。
2013/10/20
Ecriture
ナボコフの「かきつばた」は興味深い。ナボコフの人だと思っていると、「これまでずっと読んできたと言えるのはアップダイクだけ」と書いてあったりして意外な一面が出てくる出てくる。ピンチョンやヴォネガットに対しては年をとってから興味がなくなったとも書いてあるが、ナボコフをやるからこそピンチョンを読んだ時の気持ちが必要なんじゃないのかしら。誤解と妄想の源、巽流に言えば知的ストーカーとしての読者・作者・文学者の姿は常に頭の中に置いとかなくては。
2010/03/27
とろこ
著者の先生にお会いすることになったので予習として。 …のつもりが、何ともおもしろい!! 好きなことを仕事にするとはこういうことか、という感じ。 専門分野をムズかしく書くことって、実は簡単。たぶん。 でもこうやって平たくわかりやすく、それでいて深いことを表現するのは本当に底知れない思考力が要求されるんだろうなー。
2012/10/31
niaruni
自分のしていることが好きで好きでたまらない、という人の書いたものは、本当に面白い。しかも、片肘を張ったり、力んだり、うえから「モノを教えてやるっ」という空気が微塵も感じられない。教えることを職業になさっている方なのに。一介の本読みとして思うことは、ヘンな言い方になるけれど、この人に訳された作品たちは幸せだろうな…翻訳モノは通り一遍の翻訳ではなく、こういう人に見つけられ、訳された作品を読みたい。まだまだ日本では馴染みのない英米の作家たち、ぜひ紹介してもらいたい。
2012/03/17
感想・レビューをもっと見る