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乱視読者の新冒険

乱視読者の新冒険

乱視読者の新冒険

作家
若島正
出版社
研究社
発売日
2004-12-01
ISBN
9784327376925
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乱視読者の新冒険 / 感想・レビュー

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Tonex

(kindle版を読んだがこちらで登録。)翻訳小説についてのエッセイ集。2004年刊行。『乱視読者の冒険』(1993年)を大幅に改訂増補したもの。半分以上新作らしい。▼ナボコフ論の部分を中心に読んだが、「電子テキストと『ロリータ』」は目からウロコが300枚ほど落ちる面白さ。こんなほとんどの人が気づかないようなところに仕掛けをほどこすナボコフもナボコフだが、それに気づく著者も著者。素晴らしい。

2016/02/19

Yusuke Oga

この素晴らしい本はいろんな人に向けて「新しい人よ眼ざめよ!」と呼びかけている本なのである。若島先生は昔、若い頃、ずっと数学者を目指していたが、その夢を諦め、挫折した。そんなとき、京都の本屋で、ふと、洋書のペーパーバックでピンチョンの『Ⅴ.』を手に取ったのだそうだ。ちょうど、それの著者であるこのわけのわからない名前の作家がその小説を書いた頃が、自分と同年齢ぐらいで、それで彼は気になった・・・という文章をどっかで読んだ気がするのだけど、本書にはなかった。いま僕は『Ⅴ.』を読んでいる。どうしても親しみを感じて

2014/07/02

donut

もの凄い情報量の文学エッセイ集。遊び心に満ちた文章の数々に、小説を読むことの楽しさを改めて思い出させてもらった。ガルシア=マルケスの批評をガルシア=マルケスの文体でやるところとかも最高だが、やはり後半のロリータ論が白眉。リチャード・カウパーやB.S.ジョンソンといった忘れ去られようとしている作家達への愛にもしんみりとさせられる。「読書のたびに、わたしの自我は知らないうちに更新されていく。それは、知識を蓄えたり成熟したりするということとはまったく無縁だ。そこにはただ、不断の更新があるだけなのである。」

2019/12/05

Ecriture

ナボコフのとこだけ。『フィネガンズ・ウェイク』からdollyとClareを抜いたところと、電子テキスト検索でピーター・クリストフスキイの為人を紐解いたところが圧巻。特に後者は、細部を忘れることのできない電子テキストが可能にした読みだと言えるが、その検索を行うきっかけとなったものはナボコフ読みの直感であり、電子テキスト時代の文学研究とは何かという大きな問題へとつながっている。若島さんをキンボートと見る向きはあるだろうが(もしくはLibraのNicholas Branch)、魅力的なのでそれも良し。

2011/11/02

ykoji

「教壇に死す」が大変素晴らしいが、特に「単位綺譚」の素晴らしさといったらもう…。これを読んで、そうそう!大学にはこういう奴がいないと!って頷き頷き。しかし、若島さんの文章は本当に面白い。どうやったらこんなふうに面白く文学が読めるのかと頭を抱えてしまいます。

2014/05/11

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