アメリカン・ソドム
アメリカン・ソドム / 感想・レビュー
Ecriture
「アメリカン・カナン」と「アメリカン・ソドム」という切り口で17世紀から現代までのアメリカ文学を論じる。アメリカにとってソドム的体験はWASPの一元的社会が内部に封じ込めていた矛盾が暴かれるための契機であり、「グローバル・カナン」を目指すための通過儀礼ではなかったか。破滅や混沌だけでなく、「ソドミー」という語から同性愛やクィアの問題にまで射程を広げて幅広いながらも一貫した論を展開する。切り口の鋭さと論の手堅さ、緻密な時代・歴史考証にユーモア。文学者、芸術家、どちらを名乗ることも許されそうな名著。
2010/08/30
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