不合理ゆえに吾信ず
不合理ゆえに吾信ず / 感想・レビュー
三柴ゆよし
死ぬまでに読んでおきたい文学作品はいくつもあって、わけても『ユリシーズ』と『死霊』はその筆頭といえる。いつ対峙するかも定かではないラスボスに向けての前哨戦のつもりで挑んだが、「自同律の不快! テラかっこよすwwwww」とか言いながら読んでいたら、三十分足らずで読み終わってしまったので、とりあえず二周した。二周目を読み終えての感想はやはり「テラかっこよすwwwww」だった。私が私であることの不快に対する不快に対する不快……式の出口なき無限膨張宇宙に魅了された。自分大好きな人の枕元にそッと置いておきたい一冊。
2012/09/17
ヨッフム
手触りの上質な函。華のある書体で箔押しされた、タイトル。パラフィン紙で守られるように包まれたハードカバー。しかし、美しい装丁と中身は別物。埴谷雄高の言語体系は、生活空間から離れた、もっと言えば、身体から切り離された観念による雄叫びで、普通の人間の持つ生理や常識は、全く通じません。本書の表現を借りて言えば、「肉体をかこむかぼそい層の空間に眩暈のような或る不思議が棲んでいる」、そんな、異次元の空間からやってきたような言葉たち。これは、読書とは呼べません。白昼夢を視る、狐に化かされる。そういった類いの経験です。
2014/10/15
yutaro sata
うん、今の私のレベルではよく分からなかった。また会うこともあるのかもしれない。
2022/05/15
傘緑
「匂いと音に噎せながらおされて一人一人の女を眺めてゆく淫売窟のあたりの夜歩き。私はそこにしばしばせめひしぎ合っているものの力を自身へおぎなってきた。私はしばしば相反する力の根源ともなった」定期的に読み返す本の一つ。中世の神学者のように日常のほんの些細なことから哲学上の大問題へと文をすすめる埴谷雄高。ただ、針の先に何体の天使が留まれるかを真剣に論争するような人物は常識はともかく、遊戯性において屹立している。独特の語彙と文体に戸惑うかもしれませんが、「難解」のレッテルを剥がせば遊び心が顔をのぞかせています。
2016/08/25
フムー
この本の感想は「格好良かった」ただそれだけであった。特に、「遊星が遊星であるとは無意味であるとは、また無意味であろう」という言葉には一種の酩酊感を味わった。残念なことに、殆どのことは理解できないままであったが、この本のストイックさや格好良さには悪魔的な魅力があった。また、この本にはリベンジしたいし、死霊などの他の作品にも挑戦したいと思う。
2015/08/09
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