テスト氏・未完の物語 古典文庫3 (古典文庫 3)
テスト氏・未完の物語 古典文庫3 (古典文庫 3) / 感想・レビュー
くまさん
テスト氏は近代人の自意識が凝固したような存在であるけれども、私たちのなかにもテスト氏がいるかもしれない。明晰な理解力への果てしない欲求、超越や無限への志向、自分の唯一性等々をめぐって思索が展開する。自分が見知らぬ多くのもので作られているという恐怖や「知的」という巨大な言葉への疑問を提示する友人や、彼が「全身眼になったような意志の極限において」見出すのは生か死か神かと問う夫人がたたみかける。「自我という、おのれを全体と信じこんでいるが実はその瞬間的な部分にすぎないようなシステム」、テストはその証人なのだ。
2018/11/24
三柴ゆよし
わからなくとも繰り返し読むべきである。特に「テスト氏との一夜」は。ヴァレリーにおいては、言葉が言葉として自律している(=言語の置換が不可能なところまで高められ固着されている)ため、こちらとしても字義通りに受け取るしかない、という読解の困難さを孕んでいるが、終わらせ、またはじめるための必読書であると思う。
2019/04/27
tatsuki@竜樹
たしか立花隆氏が学生時代に読んだ本として紹介してて、気になったのでだいぶ前に。これがヴァレリーと私との出会いでした。以来私は、ヴァレリーのことがずっと気になっていて、今は片思い中wwwwみたいなね。はっきり言う。「面白い本」とは明らかに違う。けれどもこれは、ものを考えるという行為規範に多少の忠誠を示している人にとっては、極めて示唆的な著作であろうと思う。要はそういう本です。
ひでっち
正直言って、よく理解できませんでした。他のポール・ヴァレリーの本を読んでから再読したいと思います。
2009/11/08
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