全体芸術様式スタ-リン
全体芸術様式スタ-リン / 感想・レビュー
しゅん
ロシアアバンギャルドと共産主義の政治運動に同等のものを見出すことで既成のロシア芸術に対するイメージを覆す。つまりスターリン時代の社会主義リアリズムはアバンギャルドの反動ではなく、論理的帰結であるということ。体制⇄反体制の単純な構図を詳細に見通すことで複雑な様相を露わにする。まだ整理できていない部分もあるが、非常に勉強になった。社会主義リアリズムとブラートフ、カバコフなどのスターリン以後の芸術(ポストユートピア芸術)との関係がまだよくわかっていないな。
2018/08/28
保山ひャン
ロシア・アヴァンギャルドと社会主義リアリズムは相反するものでも対立するものでもない?芸術と党権力の親和性を暴いて刺激的だった。ポスト・ユートピアの作家として、エリク・ブラートフ、イリヤ・カバコフ、コーマル、メラミート、ドミートリー・プリーゴフ、ソローキン、サーシャ・ソコロフの名前があがっていた。読まねば。
2017/02/12
oDaDa
論点を要約するならば、①ロシア・アヴァンギャルドの無謬性という神話の破壊 ②アヴァンギャルドと社会主義リアリズムの連続性への着目 ③ソヴィエト芸術家のもつ権力志向性 ④ポストユートピア時代の芸術のスターリン主義的特質。ボリシェヴィキの革命家にとっての国家建設とアヴァンギャルドの芸術創造は構造的な同一性を持っていたとするアプローチが面白かった。「少なくとも美学の面でスターリンを反復することなくスターリンから解放されることはもはやできない。だからこそ新たなロシア芸術はスターリンを美的な現象として了解し、スター
2016/04/16
毒モナカジャンボ
ロシア革命によって登場した新しい国家は史的弁証法の教える通り歴史を克服しており、そこには歴史のゼロ地点から立つ新しい人間が生まれるべきなのだが、ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちはその歴史の総括の仕方において新しい国家から悪い意味で超越しており、なおかつ歴史に依存することによって自らの試みを正当化せざるを得ないという欠点を持っていた。社会主義リアリズムは彼らの権力志向を自らが権力であることで批判的に回収し、全てをスターリンという統一された夢(それはレーニンの死体によって正当化される)に従属させる。
2021/02/27
tkm66
それなりに面白かった、かとの覚え。
2000/12/31
感想・レビューをもっと見る