村上春樹12の長編小説 1979年に開かれた「僕」の戦線
村上春樹12の長編小説 1979年に開かれた「僕」の戦線 / 感想・レビュー
抹茶モナカ
ずっと昔に、確か『作家の値打ち』という本で、村上春樹を激賞していた人だったな、と思い、そんな人の村上春樹評論集なので図書館で借りた。デビュー作から『1Q84』までの長編を、コンパクトに論じていて、ハッとする読み込み具合を感じる部分もあった。後期の長編作品についての評論は、なんか、こう、そんなザックリで良いのか、という感じもしなくはなくて、恐らく、評価していないって事なんだろうか、という気もした。厚さもなく、活字も大きく、ザックリまとめた乱暴さを感じつつ、それでも滲む著者の知性。でも、買って読む本ではない。
2020/04/20
giant_nobita
村上春樹は、福田和也が『作家の値うち』のなかでもっとも高い評価を与えていた作家だったので、このモノグラフを期待して読んだのだが極めて物足りなかった。まず前書きも後書きもなく、個々の長編小説に関する文章が並んでいて、全体のまとまりに乏しい。また作品本文の引用が多いのも問題だろう。作品のなかの気になる部分、重要な部分を取り上げて、その都度キャプションを添えているような散漫な文章で、たしかに福田の問いの立て方は魅力的ではあるのだが、それらが解決されることもなく、空疎なレトリックで締められている。
2016/04/14
ペンギン伊予守
長編を12も論じるにはページが足りない。福田氏の仕事としては物足りない。
2014/09/27
酩酊石打刑
この著者の好意的な読者ではないせいなのだろうが、村上春樹と福田和也の取り合わせが奇妙な気がした。しかし、読んでみるとなかなかちゃんとした読み方をしているので驚いた。この人の本業(なのだろうけど)の文芸評論も、ちゃんと読まないといけないと思った。
2012/06/11
atthika
『ねじまき鳥クロニクル』が村上春樹の最高傑作という彼の考えには同感。それ以外については、村上の作品群を対日本文壇戦線とみている福田の村上観を再確認する程度の興味しか持てなかったのが残念。延々と作品を引用しながら議論を進めていくというやり方(彼に限らず村上を論じる人たちの悪しき共通点)には、はっきり言って辟易。
2012/09/12
感想・レビューをもっと見る