切腹禁止令―山田風太郎傑作大全〈11〉 (広済堂文庫) (廣済堂文庫 や 7-11 山田風太郎傑作大全 11)
切腹禁止令―山田風太郎傑作大全〈11〉 (広済堂文庫) (廣済堂文庫 や 7-11 山田風太郎傑作大全 11)
- 作家
- 出版社
- 廣済堂出版
- 発売日
- 1997-02-01
- ISBN
- 9784331605721
切腹禁止令―山田風太郎傑作大全〈11〉 (広済堂文庫) (廣済堂文庫 や 7-11 山田風太郎傑作大全 11) / 感想・レビュー
有理数
山田風太郎の作品選だが、まさに"奇想小説"が集まっており、どの短編もアイデアがぶっ飛んでいる。「男性器を見て運勢を占う商売人」を描いた「嗚呼益荒男」を筆頭に「どうやったら思いつく?」という話ばかり。だが、どれもアイデア一発勝負にならず、そのアイデアだからこその人物、物語の埋め方、伏線回収、そして悲喜こもごもの余韻――と、どれも素晴らしい。ベストは表題作「切腹禁止令」で、幕末から明治を舞台に「切腹=最高の死に方」を信仰する社会の動乱の中で切腹禁止を発令する男を描く。切実さと滑稽さが混じった切れ味の鋭い一編。
2021/02/25
タツ フカガワ
ユーモアもあればアイロニーもある、山風先生ならではの7つの短編を収録。落語「妾馬」を想起した「殿様」や、男根商売に奔走する男の可笑しくも悲しい「嗚呼益荒男」、初代(火付け)盗賊改め長官中村勘解由を描いた「南無殺生三万人」など、読むごとに山風中毒症が高じていくようです。
2018/03/07
黒い森会長
「殿様」「一、二、三!」「三剣鬼」「嗚呼益羅男」「妖剣林田左文」「南無殺生三万人」「切腹禁止令」の7編。読み応えでは”林田左文”か。結末が「黒田騒動」に結びつくという、山風流の処理の仕方。”益羅男”も、山風味があって良い。有名な明治物ではなく”幕末物”というカテゴリーもありか。「切腹禁止令」「三剣鬼」「一ニ三」など。
2020/07/23
renren
筆名のチャラさと長大な忍者ものというイメージで敬遠してたけど、目からウロコです。すごい完成度。武士のならいや世間の縛りと、人間の心と、史実とのこの絶妙なバランス。女色や男根やら糞やらを扱いつつも、おかしいとか下ネタに堕せず、かといって「このような面もぬぐいがたく持つのがニンゲンなのだ」的な通り一遍の「おかしく汚い面も描きました」でもない、これでなくては描けないのだという哀しさや無力さまでが書かれている。「切腹禁止令」「殿様」がお気に入り。
2011/10/31
ペペロニ
「南無殺生三万人」、よかった。処刑人も単なる一つの職業であり、極めれば職人である。
2015/04/30
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