花嫁は二度眠る (カッパ・ノベルス)
花嫁は二度眠る (カッパ・ノベルス) / 感想・レビュー
73番目の密室
山形の旧家を舞台に繰り広げられる連続殺人。「何故被害者は2度絞殺されたのか」という奇妙な謎が全編に不気味に華を添える。横溝作品を彷彿とさせる因習と愛憎の中に社会派的な風味も加わった泡坂妻夫らしからぬ正攻法な作風に、改めて著者の懐の広さを感じた。もちろんトリックメーカーぶりも健在で、周到な伏線に裏打ちされた大胆細緻な仕掛けが読者を罠にかけんと待ち構えている。それにしても幼さと妖しさを兼ね備えた主人公の従妹、貴詩が纏う蠱惑的な雰囲気が凄い。さすが名匠、30年前に”無能ヒロイン”ブームを先取りしていたとは…
2015/07/09
雪紫
再読。淡々と過去の記憶を呼び起こしながら事件の影が潜む。レコードが引き合いにされてるせいか読んでる最中は静かな音楽を聞いてるような感じ(本のイメージ的には地味ながらも良く出来たオルゴールみたい)。再読しても絞殺されてから時間を置いて吊るされたから二度殺されたは、無理があるような・・・でも再読でタイトルの真意には気付けた。最後の一文は彼のポジションからすると・・・?
2019/03/10
kaz
シリーズ物では軽快でトリッキーなイメージが強い泡坂作品ですが、長編には驚くほど濃密な気配に彩られた作品が多い気がする。本作もそんな一編なので、オススメに躊躇する時があるかも。伏線がかなり大胆に張られているけれど、そういう気配に惑わされて不覚にも全て見過ごしてしまいました。自分は何となく受け入れてしまったが「折り紙細工のような」貴詩という女性のキャラクターが独特で、他の読んだ方がどう感じるか気になる。
2018/02/24
慧
★1/2
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