希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)
希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書) / 感想・レビュー
harass
『日本ノンフィクション史』の紹介から知り手に取る。著者の修士論文を書き直した新書。ピースボートの世界一周旅行に乗り込んだ著者は同じく同行する人たちに聞き取り調査をしていく。この特殊な共同体の歴史や現代の日本社会を考察する社会評論。著者も自覚しているが実にシニックな内容で、納得するところと反発したい気持ちもあり複雑な読後感がある。それらを解毒するように、解説で本田由紀が反論をしている。この著者のちゃんとした著作を読んだのは初めてだった。予想外の個人的なテーマに沿った内容で再読したい。ほかの著作も読みたい。
2017/10/18
扉のこちら側
初読。2014年186冊め。『「居場所」という「共同性」に回収されてしまうことで、当初の「目的性」が冷却されてしまう可能性だ。仲間がいて楽しければ、もう社会変革とかはどうでもよくなってしまうのではないか。』(P.260)
2014/03/15
ヒデミン@もも
ピースボートに興味はなかったけれど、古市さんの思考が好きで、読み友さんの感想にも興味を持ち手にとった。この作品は、古市さんが東大大学院の修士論文として書いたものを加筆修正して、わかりやすく噛み砕き、面白くしたものらしい。が、ほんの少しだけあとがきに紹介されているピースボート航海中のフィールドノートが、彼の才能を現している。正直それを読みたかった。そして、ピースボートの恐ろしさに愕然とした。9条ダンスって!? 自分探しの旅、それってやはり平和な日本だからこそできる。
2016/12/09
香菜子(かなこ・Kanako)
希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想。古市憲寿先生と本田由紀先生の著書。古市憲寿先生が慶應義塾大学環境情報学部卒業後に東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍時に書かれたもの。人間が持つ自己実現欲求や承認欲求について改めて考えさせられるきっかけになりました。だれもが何かを成し遂げたい、周りから承認された賞賛されたいと気持ちは持っているけれど、実際に自己実現欲求や承認欲求が満たされている人は多くないのが現実。古市憲寿先生と行動力と人間観察力、そして文才が感じられる一冊です。
2018/11/11
Emperor
街中でふとした時にみかける『世界一周、99万円』と書かれた謎のポスター。その正体は“ピースボート”だった。本書は、社会学者・古市憲寿氏の東大大学院(当時)の修士論文『「承認の共同体」の可能性と限界』を加筆修正したもの。ブルデューの「社会的老化」と、ゴフマンの「クールアウト」を引用して乗船者の「共同性」と「目的性」の関係を考察していた箇所は興味深かった。古市さんの本の好きなところは、何と言ってもシニカルな文章と吹き出しそうになる注釈。あらためて、メディアで悪目立ちするようなことしなきゃいいのになあと思う。
2016/11/23
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