辞書を編む (光文社新書)
辞書を編む (光文社新書) / 感想・レビュー
鱒子
三省堂国語辞典(三国)の編纂に携わった著者の本。言葉の選択には編纂者の主観と共に、その辞書らしさが求められているーー情熱なしじゃとても続けられない仕事ですねぇ。しかし、本書は主観が強すぎる気がするので、他の編纂者のエッセイも読んでみたいです。
2019/07/24
ホークス
辞書編纂の経験談には「良い説明」のヒントがある。例えば説明が難しく感じる時、「正そう、手本を示そう」という意図が空回りしている恐れがある。「要するに」と言って「要せていない」説明は、聞き手の感覚とズレている。専門語の羅列などがこれだ。ことばの面白い話も多い。「見ろ」は見るの命令形だが、「ほら」「言った通りだろう」という意味の感嘆詞でもある。「来た」はさらに広く、「キター!」「ウチの旦那と来た日には」など多様な活用がある。「必要にして十分」の為には、難しくとも削る事。何事もそうなんだろうと感じた。
2019/02/17
キク
三省堂国語辞典第7版改訂の過程を、編纂した飯間が語る。辞書をつくることに対する飯間の情熱に圧倒され、ちょっと泣きそうになった。僕は理系出身で仕事としては主に数字や図面しか扱わないし、読メのレビューも口語体のふざけた文体でしか書けない。正直、飯間ほど日本語と向き合っては全然いない。それでも「あぁ、日本語の今にこんなに真摯に向き合ってくれている人がちゃんといるんだ」とすごく安心した。お笑い好きには「お笑いの審査員を松本人志がやってることの安心感」といえば伝わるだろうか。「三国をいつか通しで全部読む」と決意した
2023/12/17
流之助
辞書を作るときに拘っている部分など、辞書を編纂する人ならではの目線で、かなり私的な事柄を例に用いて分かりやすく書いてある。言葉に対する意識が、また研ぎ澄まされるような、好奇心を掻き立てられるような、そんな感じ。ただ、これから辞書はどうなっていくのかに対する展望にはやや物足りなさと手前味噌感を覚える。また、「舟を編む」を読んだ後に本書を読む方が良いと思う。実際に辞書を手に取りたくなる。
2018/07/07
まつこ
タイトル買い。『舟を編む』の著者:三浦しをんさんの帯文にも惹かれて読んだ。『舟を編む』のリアルヴァージョン。主役の辞書は『三省堂国語辞典(三国)』。大変な時間を費やす仕事とは分かっているものの、飲食店の看板の中からも新しい言葉を見つけたりするのは楽しそう。特に『三国』は言葉が「今、広く使われているかどうか」で編まれているという。そこで『舟を編む』が出版されたとき、『三国』でも「愛」の語釈をどうするか考えられた。今は男女間だけではない難しい問題。だからこそ小説が現実に影響を与えることがあることに感動!
2013/06/10
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