名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)
名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書) / 感想・レビュー
まーくん
皇帝と取り巻く貴族たちの、陰謀渦巻く血生臭い抗争の繰り返しが王朝の滅亡まで続く。なんとも凄まじい物語。要所要所に掲げられる絵画は新書版の制約からサイズが小さいのが惜しまれるが、王朝の歴史を語って余りある。是非とも本物を見てみたい。「ロマノフ家系図(抄)」を見返しながら読み進めたが、リューリク朝のイワン雷帝の最初の妃アナスターシヤを大叔母に、ボリス・ゴドゥノフ(オペラで有名!)に失脚させられたフィラレートを父に持つ少年ミハイルが危険な皇帝の地位に祭り上げられたのがロマノフ朝の始まり。1613年のこと。
2022/10/08
アキ
1613年ミハイル・ロマノフから1917年ニコライ二世まで双頭の鷲の紋章をロシアに掲げたロマノフ家に纏わる絵画12枚。中野京子の語りと共に堪能しました。陰謀と裏切り、政争に敗れると罷免、財産没収、拷問、シベリア送り、四肢切断、公開処刑に至る歴史の繰り返し。絵画では表紙のコンスタンチン・フラヴィッキー「皇女タラカーノヴァ」1864トレチャコフ美術館蔵がまさにエカテリーナ二世からの逮捕、拷問、拘禁、遂に溺死の場面を描く。大津事件や日露戦争で日本と関わりのあるニコライ二世一家も虐殺されロマノフ家は終焉を迎える。
2022/05/05
buchipanda3
名画で読み解くシリーズ、今回はロマノフ家。近代ロシアの歴史の潮流を知るのに丁度いい本だった。そして人物の性格や対立関係に焦点を当てた人間臭いエピソードを披露する内容は読み易くて飽きさせない。個性的なツァーリ(皇帝)の中、女帝が結構目立っていた。それもロシア以外の出身というのも歴史の綾で興味深い。親族同士の争いの容赦のなさぶりも印象的。それがもたらした皇女タラカーノヴァの絵が物語る悲劇に思わず呆然となる。こんな場面を描いてしまうとは。文学も音楽も絵画も政治を主題にするのがロシアの風土という言葉に思わず納得。
2020/06/20
つーこ
彼女の怖い絵シリーズでイワン雷帝の絵を見て、ロマノフ王朝って全く知らないな〜と思い読むことに。読んでみて本当に全く知らなかったことに驚いた。ロシアの絵画があまり有名な絵がなく普段目にしないこともあるだろうし、絵だけではあんまり興味を引くものがないってのも正直あるのかな。でも、物語はすごい。裏切り・陰謀・策略・暗殺。あのハプスブルグ家が安泰に見えてしまうほど、泥沼家系だった。そして名前が分かりにくい!フョードルにピョートル!エカテリーナにエリザベータ!この家系図が頭に入っている中野さんってホントすごい人だ。
2018/09/10
tama
図書館本 中野シリーズで。ロシア写実派凄いなー。「皇女ソフィア」「ピョートルと息子」の怒りの目、「皇女タカラーノヴァ」「メンシコフと娘たち」の絶望。一滴も血が描かれてないのに見てると恐怖で貧血起こすわ!おっかねー。ニコライ二世って大津事件と最後の皇帝と同一人物だったのか~。中高歴史の授業が「人間」視点でなされていなかった証拠だな。おススメ!
2014/10/06
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