社会をつくる「物語」の力 学者と作家の創造的対話 (光文社新書)
社会をつくる「物語」の力 学者と作家の創造的対話 (光文社新書) / 感想・レビュー
かみぶくろ
有名な憲法学者と聞いたことのないSF作家による高度な雑談集。トランプ的不寛容な社会への処方箋を、ああでもないこうでもないとリベラルな立場から議論しているが、別に物語が社会をつくる話はしておらず、正直タイトルは要旨とズレている。法学的な社会デザインの発想や、AIによる諸問題の解決の提言はとても興味深かった。しかし、右とか左とか、なんでもかんでもパッケージ販売で考えるんでなく、個別具体事案ごとに論理的かつ科学的に解決を導くってことが、なんで人類にはできないんだろう、本当に悲しいね、ってのは単なる個人的嘆息。
2018/03/18
きいち
タイトルから想像したものとは違ったが、憲法学者と物語作家、異種の専門家同士が指輪物語はじめ共通点から繰り広げる対話は随所にいいネタがちりばめられてておもしろかった。法律は過去の失敗踏まえて予防線として作るもの、なるほど。◇90年代の大人数ゲーム(なんと郵便使用、すげえ)「蓬莱学園」のゲームマスターだったという新城の、「反省するのが嫌」と感情を優先する人びとにどう対処するのか、という課題感。じゃあどうする、に答えはないが、二人とも諦めてないのがいい。◇指輪物語、ハマるの怖くて未読なんだよな、読みたくなった。
2018/03/31
*
とても想像力をかき立てられる一冊でした。『指輪物語』、未経験なのでいつか挑戦してみたいです。物語は立法のシミュレーションになる、という話は面白かった▼『華氏451』が恐ろしいのは、いわゆる焚書坑儒のように、独裁者が本を燃やしたのではないから。市民の方から書物を手放し、わかりやすい映像の刺激に甘える道を選んでしまう「過ち」が、全体から感じられて怖いのだ。
2019/08/25
緋莢
SF作家と憲法学者という珍しい組み合わせによる対談。<事実と非事実の混同という点からすると、非事実であるはずの フィクションが、人間にとって事実と同質の影響を与えてしまう>という部分で、村上春樹が書いた北海道を舞台にした 短編で、実在の街について登場人物が「たばこのポイ捨てが普通のことなんだろう」と言ったら、作者に抗議がいった というのは、他の例も結構あるよなぁ、と(東京オリンピック時の小林賢太郎の辞任きっかけとなった 過去のコント動画とか)(続く
2023/12/14
はな
憲法学者の木村草太氏と、作家の新城カズマ氏による対談。 法律の勉強にもなって面白かった。 人権が踏みにじられない社会をつくるにはどうしたらいいか。そのヒントのひとつに、 ゲーム的な世界観が挙げられ、「「相手を黙らせれば勝ち」とかっていうだけじゃなく、他の人がやらないことをやれば目立つ。人の多様性が増えていく。「いい意味でアホだねぇ」というほうに発展していくのが、たぶん本当の豊かさであり幸福なのかもしれない。」 とあり、なるほど。と思った。 みんなが幸せになればいいのに。と思う。
2019/07/07
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