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萩尾望都がいる (光文社新書 1212)

萩尾望都がいる (光文社新書 1212)

萩尾望都がいる (光文社新書 1212)

作家
長山靖生
出版社
光文社
発売日
2022-07-12
ISBN
9784334046200
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萩尾望都がいる (光文社新書 1212) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

萩尾望都は目につく限り読んできたが断片的になりがちで、作者の意図を汲んだり作品成立のプロセスを把握しながらとはいかない。家にある限りの萩尾本を集めて取り上げられた作品を参照しながら読んだが、映画やヘッセの影響、竹宮惠子との葛藤に絵のテクニックなどを明快に解説し、親子関係やジェンダーなど時代の抱える問題の影響も指摘して「なぜ萩尾さんはこの時期のこの作品を描いたのか」が系統的に理解できる展開だ。漫画史上での立場や文学的な方向性にも目配りを怠らず、戦後日本の代表的な表現者として萩尾望都を位置付けようとしている。

2022/08/28

ぐうぐう

残念な一冊だ。「はじめに」の中で、萩尾望都の革新性を伝えようとして、他者を安易に引き合いに出す手法に危うさを覚えたのだが、予感が的中してしまった。そのような下品な手法を用いる必要がないことは、萩尾の作品を丁寧に読み解き、その素晴らしさを理解していればわかりそうなものなのに。特に、24年組をめぐる考察、中でも竹宮惠子との確執を利用して萩尾の正当性を主張する章には、げんなりとさせられた(萩尾が辛い思いをして語り下ろした『一度きりの大泉の話』をきちんと読めば、(つづく)

2022/08/22

阿部義彦

著者は自分と同年代だけあって、リアルタイムに読んだだけに、詳細に調べて書いてます。巻末には参考文献が有ります。若い頃の小松左京さんが才能に驚いてずっと気にしていた、とあります。評論家受けは良くて、橋本治、中島梓にも触れられているし何よりもSFに一章を割いてその理数的思考に私でも降参です。タイムトラベル、超能力は勿論、平行世界や未来改編まで結末も考えずにやるなんて!時代考証も厳密にこの時代の年齢なども考慮して年表まで設えるなんて、文系の私には出来ないこと。全歴史(ポー再開まで)を網羅していてかなり深いです。

2022/07/17

Shimaneko

著者が言うように熱烈なラブレター的側面も確かに否めないものの、内容はかなり精緻な萩尾望都論。例の「24年組」問題について細かく検証している少女漫画史再考の章も極めて重要。個人的な思い違いや記憶の美化は誰にでもあるけど、いまや教鞭をとる立場でもある竹宮恵子のそれは、かなり罪深いと改めて思うし、彼女の過去の作品のファンとしても非常に残念な気持ち。かたや萩尾については、まぢでそろそろノーベル賞とっても良いのでは。少女漫画草創期の作家群から巴里夫の名が抜けているのが気になったBBAとしてはねw

2024/10/20

てら

著者の『日本SF精神史』が名著だったので購読。萩尾望都愛はよくわかりましたが、もう少し客観的・中立的な評論を期待していましたので、やや残念でした。ただ他の作家・評論家の萩尾望都論を並列させて比較しているため、ある程度受容史になっているのは良い構成。また、竹宮恵子の「大泉サロン」「24年組」神話の実態を検証したことも評価したいと思います。

2024/03/24

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