わが桎梏の碑 (カッパ・ホームス)
わが桎梏の碑 (カッパ・ホームス) / 感想・レビュー
モリータ
『火垂るの墓』創作にまつわる話と事実との相違、『一九四五・夏・神戸』の結末以降の福井疎開・妹の死・北河内での暮らしのエピソードが、還暦を迎え突然食欲をなくすというエピソードの時点を軸に語られる。前二作品の創作部分が何に基づいているのかを知るのに良いと思う。しかし養家をあっさり捨てる話というのも、自覚的に書いていながらむごい。ついでだがあまり歩いたことのなかった原田通りを王子公園から新神戸まで歩いて上筒井や雲中小学校のあたりも見ました。読みながら阪急で夙川や御影とか作中の場所を通ると妙な感覚になりますね。
2015/07/06
モリータ
◆書き下ろし1992年光文社刊。再読。◆「戦災孤児の神話」の部分、つまり祖母・養母との離別の事実について、確認のため読む。しかし諸作品における過去の細部に至る写真的再現は(それが事実と異なる箇所があるにしろ)異能だろう。◆「つれて、何の脈絡もなく、焼跡、焼跡につづく時間場所、に意識が逆行、時には、この妄想を保ちたくて、一人になれる場所、喫茶店、書斎に身を置き、ほっつき歩きもする。(略)この妄想が、初期の頃の、ぼくの小説の骨格を成し、ただ、書く作業、自分の文字を原稿用紙一枚四百字を視野に入れていると、(続
2022/11/24
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