二進法の犬 (カッパ・ノベルス)
二進法の犬 (カッパ・ノベルス) / 感想・レビュー
ウメ
萬月さんの作品では、これが一番好きで何度も読み返している。正直そんなに深い小説ではないのだけれど、「0」か「1」か、「生」か「死」か、その針の振り切れ方が、たまらなく面白い!
2012/02/12
岩崎二人
言葉の概念に関する話は難しいが、なるほどと思える部分も多い。本自体の奥行もすごいですが、物語の奥行がすごい。主人公自身は一般人だが、ヤクザの世界に相対したときの感情は、一般人の感覚を的確に捉え、さらに深く掘り下げて考えている。そして何より、展開が読めない。その部分を楽しむ作品ではないかもしれないが、登場人物の行動が我々の感覚、よく見るヤクザを超越している。ニヒルの話はかなり面白い。
2013/03/21
聖月
◎◎設定など、関係ないのが萬月作品である。なるほど、家庭教師とやくざという組み合わせは面白い。読みたくなるような設定である。しかしながら、描写力、書き込んでも書き込んでも止まない筆力、背景を流れる哲学、そんなものが渾然一体となって萬月作品を作り上げていく。溢れるパワー、エネルギッシュな展開に、評者は原稿で言えば1600枚の本書を、2日間の連休で一気に読み終えた。ふう、ス・ゴ・カ・ッ・タ。
2002/03/07
ぽけっとふくろう
圧巻。ハンディタイプの辞書位の厚さがありましたが、ぐいぐいと読めてしまいました。二進法の犬。うまいタイトルをつけたものです。一歩間違ったらセンチメンタルな話になりそうなのにそうはならない。その筆力に酔いしれる1冊です。愛と暴力と家族の物語。不器用だけれどしっかりと筋の通った人達の哀しい物語。
2013/01/30
とろろろ
[2007年マイベスト3位] 究極の生き様と究極の情愛。博徒の闘い、虚無への問いかけ。エログロバイオレンス。博徒の生き様が凄すぎて吐きそう。兵輔と倫子の狂おしい愛情が切なすぎて死にそう。花村萬月はライトノベルよりも読みやすい思ってる。とんでもない読みやすさなのに、この読み応え。1000pで中だるみを感じさせず、一気読みしてしまう求心力があった。傑作以外の何物でもない。二進法の犬を読み、精神的ブラクラを受けてしばらく立ち直れなかった俺。 なんと心が弱いのであろうか。
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