出雲伝説7/8の殺人 (光文社文庫 し 5-4)
出雲伝説7/8の殺人 (光文社文庫 し 5-4) / 感想・レビュー
セウテス
吉敷竹史シリーズ第2弾。山陰地方の7つの駅にたどり着いた紙袋の中には、女性のばらばら遺体が入っていた。本作は犯人が早くから明らかではあるが、遺体の顔が出てこない為に被害者が特定されない、という珍しい設定。倒叙ミステリが大好きな私は、この容疑者がどんなミスをしていたのか、どんな罠にかかって逮捕されるのか、期待がどんどん膨らむ。それに応えての終盤の仕掛けは、満足する展開だ。八頸の大蛇など出雲伝説を、殺人の背景に取り入れるとは巧いと思う。反面遺体をばらばらにする難しさや、工具は何処へ行ったのか説明不足に感じる。
2018/04/13
ばりぼー
バラバラ殺人の頭部を除く7つのパーツが、山陰のローカル線にばら撒かれるという猟奇的な事件を、吉敷刑事が愚直に追う傑作トラベルミステリー。「占星術」を彷彿させる設定ながら、地道な捜査が犯罪計画の齟齬をあぶり出すというプロットが大成功してます。背景にある「五穀の起源」「八俣の大蛇伝説」の絡ませ方も絶妙で、無茶なトリックの必然性を納得させるミステリー的説得力は十分です。解説で泡坂妻夫氏が「誰でもこの通りの犯罪を実行することができる、大変に恐ろしいリアリティ」と述べてますが、いや、確実に捕まりますって(笑)。
2016/06/22
tengen
吉敷竹史シリーズ第2弾、トラベルミステリー。☆はやぶさ事件(前作)を解決した警視庁吉敷刑事は休暇で山陰を巡る予定だったが、捜査中の旧知石田刑事と出会う。何と同日にバラバラ死体が山陰を中心とした各駅で発見されたという。見つかったのは8つに切断された頭部を除く7つ。指紋も消され被害者が特定できない。そこに匿名の投書が届く。「史学研究をしている青木さんではないか?」出雲伝説を巡る確執と憎悪が浮かび上がってきた。だが容疑者と被害者は前後する列車に乗っていたのであった。☆彡オタクな国語学者・波地の描き方が良い。
2017/11/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
島田荘司氏の作品、長編第六作目。「吉敷竹史シリーズ」第ニ作目。山陰地方のローカル線の駅に流れ着いた女性のバラバラ死体。吉敷刑事は偶々里帰りをしていて、その猟奇的事件の捜査に関わることになります。(吉敷刑事の故郷は尾道です。)時刻表を駆使したアリバイトリックを吉敷刑事が考え抜きます。十数年前ですが、夫が米子のとあるメーカーに出張することが多く、私も自費で着いて行って中国地方のローカル線に乗るのを楽しんでおりました。(実はノリテツです!)物語に登場するローカル線殆ど乗ってます。と言うわけで、もの凄く(続く)→
2023/05/01
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
有栖川さんの『作家の犯罪現場』で紹介されていた一冊。両手両足(膝下、腿)胴体の女性のバラバラ遺体7/8が、別々の電車の網棚で発見される怪事件に挑む刑事吉敷。時刻表のところは、数字が並ぶのがややこしくて斜め読み。山陰地方、主に島根県出雲の古事記の世界八岐大蛇伝説を見立てたかのような殺人事件。トラベルミステリ好きにはおすすめ。
2016/03/02
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