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奇跡の男 (光文社文庫 あ 12-3)

奇跡の男 (光文社文庫 あ 12-3)

奇跡の男 (光文社文庫 あ 12-3)

作家
泡坂妻夫
出版社
光文社
発売日
1991-02-01
ISBN
9784334712846
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奇跡の男 (光文社文庫 あ 12-3) / 感想・レビュー

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モリス

【88-11】5編の短編もの。中にはしんみりとした読後を迎える話もあるのですが、どの話もどこかユーモラスな部分があって安心して読むことができます。決して傑作揃いというわけではない短編集ですが、親しみ易く敷居の低さが初心者にも受け入れられやすくて、既に「鬼籍の男」となった著者の入門書として位置づけられるのではないでしょうか。(現在は絶版なのが残念です><)人生の終盤を迎えた男の「狐の香典」は考えさせられるお話でした。

2017/05/08

砂糖と塩

短編集。ちょっとした失敗で犯人判明→謎は後からサラッと明かされる、てな構成が多かったためか、トリック的にはアッサリめでした。そんな中で印象的だったのは『狐の香典』。何気ない会話の一つ一つが周到な伏線となって、最後は驚きと納得が同時に待っていました。後は不思議な色っぽさのある『密会の岩』と、一番会話がコミカルに思えた『妖異蛸男』。ただし他の作品でも、飄々としたやり取りは魅力的で、読んでるとクスッときます。そんなとぼけた人達が次のシーンであっけなく死体にされてしまう怖さも、話によってはあったりするんですが…。

2013/07/02

みお

さすがに無理じゃないかしら?って強引なトリックはあるものの、逆転の発想やユニークな発想、思いもよらない動機のおもしろさ(せつなさ、やるせなさ)。そして、泡坂さんのとぼけた味わいが大好きなので、おもしろかったです。『狐の香典』が一番好きかなぁ。

2012/04/17

浅木原

ノンシリーズのミステリ短篇5編。特別傑作はないけど安定感のある作品集ってところかな。ベストは「狐の香典」。ミステリーとしての伏線の技巧と二転三転の末明らかになる真相が、人情話としての感慨に繋がる秀作。表題作は泡坂らしいある種の逆説が冴える佳作ですの。最後の密室殺人ものの「妖異蛸男」もなかなかいい。「ナチ式健脳法」は足跡の謎の真相が他の泡坂作品でも見覚えがあってどうだろうと思うものの、表題がそのトリックの伏線になってるあたりが実に泡坂。いつもの泡坂ワールドな繋がりも含め、泡坂読者は安心して読める一冊やね。

2015/01/24

Tetchy

追悼泡坂妻夫氏。文庫の裏表紙の紹介文から多大な期待をしてしまった「奇跡の男」から始まったこの短編集は、全体的な印象から云えば、別段心に残るような意外な真相、プロットは無いものの、何故か気になってしまう。それは各々の短編に出てくる人物たちがやたらと存在感をアピールしていること。純文学の香気漂う「狐の香典」、「密会の岩」の糀屋五兵衛と安里に代表される飄々とした物腰は何とも堪らない。また他の作品から懐かしい顔が出ていたのも嬉しかった。

2009/02/21

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