ダブル・スチール (光文社文庫 ふ 9-2)
ダブル・スチール (光文社文庫 ふ 9-2) / 感想・レビュー
モリス
【88-09】野球+ハードボイルドもの。日本球界を永久追放となった元プロ野球投手が主人公。昔の仲間をかばうために元のヤクザに復帰した主人公が現金輸送車を襲う計画をすすめていくお話とパリの草野球からダイヤの原石を見つけコーチを行うお話の2つを軸に物語は進む。いやあ、しかし面白い!読みやすさも手伝って一気読みでした。タイトルの意味が悲哀に満ちておりますが、時代おくれでも護っていた者から裏切られたとしても男はこうありたいと強く感じた作品でした。若さとは違った意味での純粋さを持ち続けたいものである。傑作です!
2017/05/10
はまちゃん
八百長試合の疑いをかけられプロ野球界を永久追放された本多陽一郎。パリで日本食レストランを経営しながらも闇社会とつながっている本多が野球の才能に溢れる若者 ミッシェルと出会い、昔の情熱を取り戻しながらミッシェルをプロ野球の投手に育てようとする。一方、闇社会では対立する2つの組織の面倒ごとに巻き込まれていた。野球少年のようにミッシェルのコーチをする本多と闇社会でのヤクザ者の本多、どちらも本多陽一郎なのだが、やはり野球に関わっている姿こそが本当の本多なのだろう。最後のストレートは本多の男としての矜持だろうな。
2023/11/08
アラム
(このミス'88 9位)野球賭博の冤罪で球界から永久追放された主人公本多が、異国の地、パリで草野球のピッチャーの中からダイヤの原石を見いだす話。ヤクザものとなった主人公の魅力と異国情緒、野球の話が一つになって読後感のいい作品。面白い。
2018/03/23
あかつや
元投手で八百長を疑われてプロ野球界から追放され、その後パリでヤクザ稼業に身を落としたものの、引退して地味に暮らす主人公。彼がある事件をきっかけに嫌々ながら現場復帰したのと同時期に、偶然剛速球の金の卵を見つける。犯罪と投手育成、この2つの軸で物語が進んでいくのだけど、意外とゴチャゴチャにならず勢いで読ませてくれる。どちらもなかなか調子よくことが運んで気持ちがいい。でも最後がちょっとなあ。どうせ剛速球のパリっ子が数ヶ月でプロに、なんてファンタジーやってんだから、最後も嘘っぱちでもハッピーに締めてほしかったな。
2020/11/04
タケ
「八百長投手」の烙印を押され日本野球会から永久追放され、フランスでヤクザな稼業に足を踏み入れた、元プロ野球選手の物語。藤田氏の著書しては珍しいほどギラギラしたハードボイルドな作品。中年オヤジである主人公と若い美女とのロマンスは、作者のお約束ではあるが。仲間のトラブル、他勢力との諍い、仲間割れ、そんな暗闇の中を生き抜く主人公に、一筋の光が現れる。草野球の試合でたまたま見かけた1人の少年投手。荒削りではあるが、その素質に惚れ込み、この少年を自分の手で育て上げ、いつしか日本プロ野球のマウンドへと夢見る。
2016/10/22
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