綺堂むかし語り (光文社文庫 お 6-15 光文社時代小説文庫)
綺堂むかし語り (光文社文庫 お 6-15 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
saga
【古書】明治から大正、昭和初期の時代の随筆集。関東大震災前の、江戸の風情の残る湯屋や遊びの描写が興味深い。日清、日露戦争の従軍記者として大陸で過ごす随筆は、まだほのぼのとした雰囲気だ。明治41年の修善寺は、著者の暑中休暇を綴る。明治43年には漱石の修善寺大患という出来事があるのだが、同時代の作家の動向がないのが不思議である。やはり私は「回想・半七捕物帳」が最も興味深かった。
2023/03/03
_riverisland_
この中の『春の修善寺』という随筆がとても好き。受験生の頃に国語のテキストの問題文として採用されていたのを読んだのが初読で、それから何度も読んだ。ノスタルジックでありながらどこか妖しげな空気感がたまらない。実際、修禅寺から川を挟んだ狭い路地を進むと辿りつく指月殿のある辺りは、この随筆で読んだ通りのなんともぞっとするような魅力を纏っていて、まるでそこだけ空気が違うかのよう。
MIRACLE
大正・昭和初期の作家・劇作家である岡本綺堂の随筆集(解説は岡本経一)。風俗・旅・作家生活で構成している(芝居関係については『綺堂芝居ばなし』に収録)。「江戸の残党」「ゆず湯」「苦力とシナ兵」「素人脚本の歴史」。解説によれば、本書は旺文社文庫の復刊だが、これまで未収録だった「我が家の園芸」「最後の随筆」の二章を収録している。
2013/01/03
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