一、二、三-死 (光文社文庫 た 4-24 墨野隴人シリーズ)
一、二、三-死 (光文社文庫 た 4-24 墨野隴人シリーズ) / 感想・レビュー
HANA
墨野隴人シリーズ二冊目。老人の元に届いた奇妙な手紙。そこに綴られていた言葉はドイツ語で「一、二、三-死」。前作は徳川埋蔵金という大道具を扱っていたのに対し、今回は遺産相続という現実的な問題。ただ前作以上に語り手が冒険するが探偵自体は今回ほぼ表に出てこない。その為手掛かりの出方が唐突な気がするなあ。数え歌とその見立て殺人といういくらでも魅力的になりそうな謎も、後半始めになって急に出てくる始末だし。何故その歌が出てくる必然性があるのかもわからないし。このシリーズの構造的な問題かもしれないけど、やや腑に落ちず。
2021/01/28
セウテス
墨野隴人五部作第2弾。ワトソン役でもある村田和子の語りで、物語は進行する。彼女の住むマンションの同じ階に住む、75歳になる菊子というお婆さんに、「一二三・死」とドイツ語で書かれた脅迫状が届く。相談を受けてみると彼女はかなりの資産家で、親戚に彼女の遺産を当てにしている者が多数いる事が分かる。伏線も含めてかなり素直に推理しやすく、犯人も当てる事が出来ると思う。更にはシリーズの謎、主人公の正体についての大きなヒントの在る作品だろう。正解を推理出来る楽しみ歓こびを、味わえる様にバランスを上手く保っていると感じる。
2016/06/16
kagetrasama-aoi(葵・橘)
高木彬光作品、登録二十三作目。墨野隴人シリーズ、第二作目。横溝正史氏のあの名作が、’59年。この作品は’74年ですから、20数年経っています。使い古された筋書きと言えるとは思いますが、高木氏は古き良き探偵小説の復権を願って、この作品を上梓したのだと思います。それは成功しているように感じます。それにしても、びっくりな動機でした‼️
2020/02/29
kinshirinshi
墨野隴人シリーズ第二弾。第一作よりテンポが良く、あっという間に読み終えてしまった。犯人は見当がつくが、最後で明かされる動機はなかなか奇抜で、それでいて(犯人の視点に立てば)十分に納得がいく。「鬼の数え歌」に見立てた連続殺人としても面白いが、それが見立てだと判明するのが終盤に差し掛かってからなのは、少し勿体ない気がした。やはり見立て殺人は序盤から効力を発揮して、登場人物や読者を戦慄させるようなものでなければ。
2021/01/14
shiaruvy
コメントあとから [1998.02.20 初版]
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