娘に語る祖国 (光文社文庫 つ 8-4)
娘に語る祖国 (光文社文庫 つ 8-4) / 感想・レビュー
西
つかさんが書いていることだから、どこまでが事実で、どこまでが虚構かわからない。けど、わずか200ページのなかに、つかさんの魅力があふれていた。その時代をなぜか羨ましいと思う。それだけの熱量がある。 在日韓国・朝鮮人、その二世、三世として生まれてきた人の味わう辛さ、想いというもの。そこへの複雑な感情。つかさんの魅力の理由が少しわかる気がするとともに、もっと学びたいとも思う
2017/04/16
湖都
某元宝塚歌劇団トップ娘役が、この「娘」であることから興味を持って。私は彼女が大人になって舞台で輝いている姿しか知らなかったので、彼女の生まれた時のこと、名前の由来やルーツが語られていることが興味深かった。また筆名が平仮名である理由や、父と娘の姓や国籍が違う理由が特に印象的。そして何より、在日韓国人であることについてが深くて難しい。日本人にも韓国人にも差別され続けて、どうしたらいいのかわからない気持ちがそのまんま伝わってくる。しがらみに囚われずに生きられたら良いと思うのは、これも戦争を知らないからなのか。
2019/08/14
Kensuke
Kindleにて購入。最近特に在日の人たちの生の声・体験に興味があるので小説「パチンコ」に引き続きこちらを。愛しい幼い我が娘に向けた手紙なので文章はとても平易。しかし著者の想い、温かみが伝わってくる。つかこうへいとか伊集院静とかザ・昭和の一見マッチョで粗野、でもインテリ明晰で優しい、そういう大人で特に美しい文章書く人なかなか今は見当たらないの寂しいなー、と思ったり。
2021/04/22
Shinchan
劇作家つかこうへい、在日韓国人としてのアイデンティティについて娘に語るかたちで綴られている。日本人からはなかなか判り得ない韓国の人たちのメンタリティなども垣間見ることができる。 人と人との交流、親、子供、隣人、同胞、民族について考えさせられる本である。
2011/12/27
T
いわた書店一万円選書3冊目。自らが在日韓国人であるというルーツを深掘りしたつかこうへい氏の祖国に対する語り。私が悩んでいた時に、大学で「マージナルマン」という概念に出会ったが、この本で書かれているのはまさに境界にあってどちらにも属しきれない存在のこと。在日韓国人の境遇に初めて触れて、日本で差別にあうのは想像に難くなかったが、韓国でも疎まれるというのが深く刺さった。どちらにも属しきれやしないのかもしれないが、どちらにも人間の心があることを思わせる最後はよい締めくくりだった。
2023/01/05
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