龍臥亭事件: 長編推理小説 (下) (光文社文庫 し 5-28)
龍臥亭事件: 長編推理小説 (下) (光文社文庫 し 5-28) / 感想・レビュー
セウテス
御手洗潔シリーズ第10弾ー下巻。連続殺人は終わらず、警察も全く糸口を掴めない。ハッキリ言って、本作は本格ミステリーではない。犯人の目星は早い段階から付くのだが、実際絞り込める程の情報は無いと思う。密室のトリックに到っては、論理的に解明する事は無理ではないかと思う。救いとしては石岡の成長の物語として、シリーズファン的には嬉しく感じる。更に現実の「三十人殺し」の一つの解釈としても、充分な読み応えがある事だ。その為に、石岡より早くに謎解きが出来なくても、満足感が得られる。ミステリーとは関係なく、心に残る作品だ。
2017/01/05
Tetchy
下巻の中間で都井睦雄の30人殺しへ至る経緯がその生涯と共に語られており、しかもそれが物語の謎の中心であるが故、フィクションとノンフィクションの境がぼやけ、真にあったかのように錯覚させられることだ。『秋好事件』でもそうだったがこういうノンフィクションを語らせると島田は抜群に上手い。臨場感と睦雄の人となり、そして事件の引き金となった経緯が非常に説得力を持って語られる。読んでみてやはりこの作品は新生島田荘司の誕生を高らかに宣言しているように感じた。本当に素晴らしい作家だ、島田は。
2009/08/21
takaC
五年掛かりでようやく読み終えた。下巻はほぼ半分が津山三十人殺しの島田流再現。龍臥亭事件的にはそれが必要だったわけだが、整理したらそれだけでは?という気もする。
2013/10/15
やっちゃん
まさかの御手洗潔不在のまま!これが1番のサプライズ。石岡くんが事件解決に混乱して訳わからなくなる姿が読者の私と同じで親しみが持てた。津山の事件の部分は吉村昭の小説かと思ったわ。島田荘司のちょっと趣向を変えてみた感が強い作品ですね。
2022/10/07
yucchi
【メディアミックス祭第十弾】石岡和己45歳、御手洗からの少しのヒントと励ましの手紙のおかげでひとりで頑張ったよ僕!体を張って護衛をし、自信喪失中でも推理をして事件解決後には女子高生からちょっとしたご褒美ももらって、フヌケなおじさんからは脱出できた模様。私は事件解決後に島田御大からサプライズをもらいました(笑) P568で「ん?」と思い、P586の蛇足解説で「( ゚Д゚)ヒョエー」となった。いやぁ御大さすがッス(笑)
2016/05/06
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