けもの谷 (光文社文庫 さ 16-1 光文社時代小説文庫)
けもの谷 (光文社文庫 さ 16-1 光文社時代小説文庫) / 感想・レビュー
オレンジ。
おぞましい感じのする題名だったが何とかオフで購入。文芸評論家の大野さんが「江戸後期、大垣藩領・根尾谷二十七ヵ村の村人と武士たちが力を合わせ、猪の害から自分たちの暮らしを守るために猪垣を築き<猪神>と呼ばれる大猪を退治する過程が克明に描かれている。」と書かれている。人間関係においてもかなり残酷な場面もあって心が痛んだが救いのある描き方なので引き込まれてしまった。途中で動物の猪神が心理を吐露するのが斬新だったがさすがと感嘆しきりだ。でも読後感は重い。
2014/09/09
くろじら
岐阜県の根尾谷にはかつて長大なシシ垣(獣害防止のための石垣)があったらしいのだが,それを構築した人々の物語.主人公の二人(魚住伝十郎と古藤田平八)が高潔で素晴らしい.羆嵐+プロジェクトXかと思いきや,むやみに感情的にならずに淡々と話が進んでいく.大事業を成し遂げる高揚感よりも,自然の中でただ少しでも安心して暮らせるように,という静かな強さを感じる物語だった.
2020/06/01
感想・レビューをもっと見る