女について (光文社文庫 さ 11-2)
女について (光文社文庫 さ 11-2) / 感想・レビュー
巨峰
25年ほど前に書かれた短編集だけど、この小説女子供にゃ理解できないだろうなと言ってみる。「女について」というタイトルだけど、この小説を読んだところで、女については何一つわかんない。わかるはずもない。むしろ、この小説で生き生きとしているのは主人公の友達。「悪友について」というタイトルにした方がいいなと思うくらい男同士の関係性がうらやましい。まぁ作者にそういう友達がいるんでしょうね。軽くて心地よい。
2017/09/08
ほほほ
短編集。80年代後半〜90年代前半の都会的な空気を味わいたくて。どの話も結末らしい結末はなく絶妙なところにふわりと置かれて終わる感じ。冷たいのか温かいのかよくわからない温度感も心地よかったです。文章も読みやすくて、だからといってクセがないわけではなく気に入りました。この作家の他の作品も読んでみたいです。
2017/01/12
奏市
著者風の小説家が主人公の短篇集。表題の「女」は過去の彼女、気になってた女の類。男は誰しも?そういうことを思い出しては感傷にふけるものだと思う。『クロスワード・パズル』が特に面白い。結婚詐欺師と勘づかせる匂いってどんなのだろ。著者の小説にはこの短篇含めて編集者との独特な会話・関係性をもった作品がいくつかあって、著者自身と編集者たちとの素敵な関係を想像させる。『イアリング』は上手いなあって構成。男の前でイヤリングを外すと誘ってるみたいに見えるって考えた事なかった。そんなシチュエーションもなかったしな。
2021/03/21
majimakira
改題版ではあるが、タイトル通り女性について語られる八篇の物語。そして、そこに向き合う、若き日の正午さんが映されたような、感傷家で隙のある男(たち)の物語。青春時代の女性と恋の記憶は、こんなふうに少しの時間を隔てて尚、トリガーとなる想い出の品や言葉を通ると、底知れぬ感傷としばし止まる時間の中に男を浸すのだ…なんていう切ない事実を、洒脱な表現で物語として紡ぐ佐藤正午小説の世界がやはり好きだ。
2024/01/06
momo
八編の短編が収められています。どの作品もとても面白く、佐藤正午の文章技術の高さを感じます。無駄のない表現、洒落た会話、読み終えた時の余韻・・吉田伸子さんの解説に登場するM氏のようにファンレターを書いてしまいそうです。語り手である「ぼく」は同一人物のように思われます。そして不思議とどの女性も似ています。芯があって、おしゃべりではなく、奥ゆかしく、ある日「ぼく」から離れていく女たち。「ぼく」と「女」の距離感が作品に清涼感をもたせ、せつない気持ちにさせるのだと思います。別れても思い出したくなる女たちです。
2017/11/30
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