準急ながら: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫 あ 2-34 鮎川哲也コレクション)
準急ながら: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫 あ 2-34 鮎川哲也コレクション) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
ミステリはラストから作っていくという。そうでなければ、とうてい完璧に組み立てられるものではないだろう。「準急ながら」も見事なまでに逆転、また逆転の連続で、オビに書かれた「これぞ本格推理」というキャッチフレーズが、そのまま正当な評価だと思う。アリバイ崩しが地味だと思ったら大間違い。さすがに巨匠は意外性を盛り込んで、全く飽きさせなかった。最初の数ページですっかり物語に取り込まれてしまって、気がついたら電車を降りるまでに、数十ページも読んでいた。愛知県の事件が全国的に展開するのも旅情的な楽しみのひとつだ。
2022/02/10
セウテス
単なる殺人事件と思えたものが、殺された人物は生きていた。長年被害者になりすまして居たのは、いったい誰なのか。二重三重にも重なった事件背景が、やっと紐解けた時現れたのは、完璧なアリバイを持った犯人だった。鬼貫警部は仮説を立てては修正し、又仮説を立てては立証に何度も立ち向かう。崩れそうで中々崩れないアリバイ、こういった本格ミステリーは読み応えが在ります。鮎川氏の作品は派手なトリックではないのですが、何度も何度も検証して正にパズルを解くが如し、本格の王道です。ミステリーの読み方を、学び取る事が出来る良作です。
2015/05/12
森オサム
始めは繋がりが見えない事件の関係性が徐々に明らかになって来る。更に捜査が進むと容疑者が絞られるが、そこには鉄壁のアリバイが立ちはだかっていた。列車の時刻表、写真のフィルム、二つの謎に鬼貫警部が立ち向かいます。トリックは正直大したことは有りません。刑事たちの地道な捜査と鬼貫警部の鋭い推理を、丹念に追う事が楽しめるかどうかがこの作品の評価を分けるのでしょう。はい、私にはいまいちでした。残念。しかし、「ながら」って列車の名前だったのね、準急ながら客は多く無かった、みたいな文章の冒頭部分かと思ってたよ。他の読も。
2018/09/19
たか
鬼貫警部シリーズの王道鉄道ミステリ。 土産物屋の店主『鈴木武造』が殺されるという事件が起こるが、実は本当の『鈴木武造』は別の場所で生きていた! 長年『鈴木武造』を名乗っていた男の正体は果たして誰なのか。何故『準急』を利用したのか。 読み応えはあるけど、苦手な鉄道ミステリのため、D評価
2019/02/16
そうたそ
★★★☆☆ 読む前からいかにも鉄道トリックが使われてるっぽいタイトルを見てげんなりしたのだが、やはりそういう作品だった。ミステリの中でも唯一好きになれない鉄道トリック(形式的なものでいうと、倒叙ものもそんなに好きではないが)だが、名作とされてるこの作品くらいは読んでおこうと手にとった。鮎川哲也自体は好きだし。トリック自体は派手じゃないし、じわりじわりとアリバイを崩していくという地味さが売りのこの作品。他の鮎川作品と比べても、この作品が特別面白いとは思わなかった。発表当時に読めば違ったのかもしれないが。
2016/07/04
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