鍵孔のない扉 新装版: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫 あ 2-39 鮎川哲也コレクション)
鍵孔のない扉 新装版: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫 あ 2-39 鮎川哲也コレクション) / 感想・レビュー
W-G
捜査の過程や、鬼貫の閃きの鋭さなど、毎度安定の鮎川印。目新しいのは事件の発端となる音楽家夫婦の描写。かつてないほど感傷的な心情表現が多く、歌詞の解釈から過去を振り返る夫や、意識が曖昧なまま男の名を繰り返す妻など、表現者としての幅の広がりを感じさせる。惜しむらくは、それらの積み重ねが、物語の骨格に直接寄与していない。しかし、確実に"読ませる"作品になっている。事件としては、概ね面白いが、朝吹殺害時の"射殺ではなく溺死にした理由"の説明だけがピンとこない。私が読み落としただけなのか?説明乞う。
2018/06/03
Kircheis
★★★☆☆ 鬼貫シリーズ、定番のアリバイ崩し。 犯人は割と序盤から怪しい空気をしていたし、大体のトリックの流れは想像できた。特にタイトルにも使われている密室と鍵の謎はすぐに真実に思い至った。 しかし、警察関係者の間抜けぶりや鈴木重之と久美子の元夫婦コンビの哀しい関係性が印象に残った。客観的にみて朝吹は下らない男だったが、やはり有名俳優となると良く見えるのか… あと、遠刈田温泉のことをめちゃくちゃ悪く書いてたが、現在ならコンプラ問題に発展していたかも… 個人的には割と好きな作品だった。
2023/08/29
m-ide
鮎川さん初読みです。有栖川さんの作品に影響しているようなので読んでみました。背景が昭和30~40年代なので古くはありますが、ロジックは素晴らしく、楽しめました。歌曲に関する造詣の深さを感じ、旅行をしたくなる描写は癖になりそうです。
2021/02/21
そーいち
「本格の鬼」と称された鮎川哲也さん、鬼貫シリーズもので著者中期を代表する作品。アリバイ崩しを得意とする氏らしく、容疑者は物語中盤で判明するが、そこからコツコツと謎を一つ一つ解明していく流れ。地味ながら安定感のあるストーリー運びは無駄が一切ない。トリックに関しては2つの殺人事件が発生し、その2つとも趣向を凝らしている。鬼貫がトリックに気づく場面も論理的で無駄がない。余談だが、文庫版の解説を書かれているのはアマチュア時代の有栖川さん(大学生当時)だったりする。
2022/05/15
ホームズ
バラバラの事件が徐々に繋がっていく感じが良いですね(笑)新しい事件がドンドン起きていくので何となく最初の事件がどんな事件だったか忘れてしまいそうになって登場人物が誰?って(笑)そして相変わらず鬼貫警部は地味ですね~(笑)フレンチ警部に似た感じもしますがフレンチほど存在感が(笑)しかし最近ようやくアリバイトリックが楽しめるようになってきた(笑)
2010/12/14
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